2007年10月20日〜21日
奥多摩三山
三頭山中央峰の行方と山岳耐久レース


この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図200000(地図画像)
及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。(承認番号 平19総使、第184号)


2007年10月20日
上野原駅0812−0900郷原0915〜1031西原峠〜1035槇寄山1041〜1150大沢山〜1210三頭山西峰1230〜御堂峠〜中央峰〜1237東峰〜1315鞘口峠1318〜1358風張峠〜1424月夜見山1427〜1436第2駐車場〜1508小河内峠1517〜1617惣岳山1621〜1642御前山〜1700御前山避難小屋

2007年10月21日
0500小屋0630〜0713鞘口山〜0657クロノ尾山〜0731大ダワ〜0850大岳山0910〜0917大岳神社0921〜0945鍋割山分岐〜1000鍋割山〜1016奥の院1030〜1100長尾平1110御岳山1124〜1202日ノ出山1210〜1257梅野木峠〜1313三室山〜1335琴平神社1338〜1430日向和田駅1454



2007年10月20日

金曜日の仕事が終わってからその足で駿河小山に向かい、一晩露営して不老山から三国山菰釣山経由でぐるりと歩くつもりだった。しかしあいにくの雨。早朝でかけたのでは廻りきらない。ということで、急遽計画変更で奥多摩三山巡りをすることにした。

泊まりは御前山避難小屋として逆算すると、三頭山で昼食、郷原から登って西原峠から笹尾根、ということは、上野原駅まで電車だ。最速乗り継ぎを考えると、上野原駅8時07分着、08分発のバスになる。自宅を出発して順調に進むが高尾駅で乗り換えた時点で電車が定刻になっても発車しない。追い越すはずの特急が遅れているそうだ。結局10分ほど遅れて発車。上野原駅には5分ほど遅れて到着したがバスはしっかりと待っていてくれた。

郷原到着後、尾根に向かって登って行く。最初はアスファルトの農道。農家の裏庭のような所を通って登山道へ。余り歩かれていないようで幅が細く草が被さっている。南斜面ではあるが薄暗い雑木林。聞こえてくるのは枯葉を踏む自分の足音とドングリの落ちる音だけ。時折遠くから砲撃の音が地響きのように届く。所々掘り返された跡と二本爪の足跡。シカではなくイノシシの足跡のようだ。一応予防のため熊鈴を付けた。オクモミジハグマ、カシワバハグマ、コウヤボウキ、シロヨメナなどが咲いていた。


コウヤボウキ


オクモミジハグマ


カシワバハグマ

西原峠に到着すると木にくくりつけたフラッシュライトと立て札。東京都山岳連盟の山岳耐久レースだそうだ。途中で出会った係員の方に伺うと、本日13時出発で2000人が72kmほどを24時間以内で駆け抜けるそうだ。知らなかった。えらい日に来てしまった。御前山付近は17時過ぎに通過するそうなので何とか追いつかれずに済みそうだが何となく焦ってしまう。追い立てられるように歩き、三頭山に到着したのは12時過ぎ。ここで昼食。


耐久レースの表示板


富士山がくっきり


槇寄山の三角点


オヤマボクチ


ヤマトリカブト


三頭山の避難小屋

三頭山の名前は頂上が3つ集まっているからだろう。最初に辿り着いた富士山のよく見える広い頂上は西峰と思っていたのだが、そこから東に下った御堂峠には今下りてきた峰に向かって中央峰の矢印が向いている。西峰を逃してしまったとがっかりしながら東峰と書いた標識の矢印に向かって登って行く。登りきってからなだらかに少し下る。おかしいなと思っていたら、その先に三等三角点と東峰の標識。おいおい、さっきの少し手前のピークは何だったんだよと疑問符がいっぱい。ということで、帰ってからGPSデータや写真等で確認したが、最初に辿り着いた三頭山の表示があるピークはやはり西峰。1524mの数字も合っている。あとからたどりついた三頭山の標識は東峰。1527mの数字も合っている。ということは東峰への案内板を頼りに登っていった最初のピークが最高峰である中央峰だったのか。何にも表示がなかったよなあ。最高峰に辿り着いた感激を楽しませてくれよと少し不満。この情報が間違いであるようなら、どなたか私にお知らせ下さい。いつか中央峰の標識を見に行きたいと思います。


三頭山西峰のはず


三頭山東峰


三頭山東峰の三角点


東峰のそばにある展望台

さて、ここから幾つか峠を通る。峠を通ると言うことは尾根を越えて行くということである。鞘口峠までぐんぐん下る。またいっぱい登っていっぱい下りて風張峠。途中を周遊道路で切り取られた登山道を歩いて月夜見山へ。また下ってバイクのいっぱい走る周遊道路をあるいて第2駐車場に到着。大きなテントが張ってある。中にはポカリスエットの山とリタイヤ者用の毛布等。ここから小河内峠まではまた登って下る。防火帯はピークに沿っているのでそこを歩けばピークを拾うことは可能なのだが、今回は追い立てられるような焦った気持ちですっかりペースを乱し既にへろへろ状態。巻き道を素直に進む。小河内峠から惣岳山まではひたすら登り。10分歩いては一休み。5分歩いては一休み。16時近くなり薄暗くなってきた上に霧が出てきたので先が見えず、いつまで登りが続くのか見当が付かずはなはだ心細い。やっとの事で惣岳山に辿り着きもう一がんばりと御前山に到着したのは17時近かった。そこから少し下りて避難小屋に到着。先客は1名。挨拶をして食事の支度をしている内に外は真っ暗になってしまった。危なかった。シュラフを出していると横をゴソゴソ歩く影。大きなゴキブリかと思ったらヒメネズミ。寒い中申し訳ないが、サッシを開けて外に出ていただいた。就寝は18時。夜中に目を覚ますと尾根筋の木立の間をチカチカといくつもの灯火が流れて行くのが見える。みんな頑張っているなあと思いながら再び眠りにつく。


月夜見山の札札


月夜見山の三角点


第二駐車場のテント


リタイヤ者用テント


小河内峠に向かう


惣岳山は霧の中


御前山の三角点


耐久レースのバッグ




2007年10月21日

翌日は5時起床、6時半出発。気温は6度。一晩寝て疲れは取れたようだ。調子よく進む。途中でレースの参加者を3人追い越す。大ダワにレース用テント。リタイヤ者用テントの入口脇を通るとき、恨めしそうに外を眺めてる女の子と目が合ってしまった。失礼しました。
大岳山の前後は鎖場が幾つかある。1箇所だけ重心を岩の外に出さなければならないところがあるが、あとは鎖無しでも進むことが出来る。へたに鎖に頼って身体を反らせ手を滑らせてしいまうよりも、しっかりと岩を掴んだ方がよほど安全だと思えるのだが、手を汚すのが嫌われるのだろうか。大岳山に到着すると素晴らしい眺め。澄んだ空気のなか何処までも見通せる。今までで最高の眺望を楽しんだ。直下の大岳神社には可愛い狛犬。


避難小屋からの朝焼け


御前山避難小屋


大岳山付近は鎖場が多い


岩も少し登る


大岳山の三角点



大岳山からのパノラマ




大岳神社


大岳神社の狛犬

途中で左に折れ鍋割山へ。辿り着いた所は4m四方の小さな広場。当然ながら草野さんもいなければ鍋焼きうどんもありません。更に進んで奥の宮へ。最後の岩場を上ると祠の裏に出る。青梅市の二等基準点があった。お参りした後本宮に向かおうと思ったが路がない。祠の真正面を進もうと思ったら急勾配でとても降りられそうもない。どうしても路が見つからず、かといって今来た道を戻るのもしゃくなので東に延びる尾根を無理矢理降り始める。20mほどヤブを漕ぎ、ふと右を見るとしっかりした遊歩道があるではないか。慌ててそちらに方向転換。事なきを得たのだった。更に右を見ると奥の宮の拝殿があった。拝殿の左側に明らかな登り口がある。本当はここから登って祠の裏手に出るのだろう。
少し歩いて浄水場を過ぎたところで観光客の中に飛び込む。本宮にお参りして脇のベンチでパンをかじる。ふと前を見ると立て看板に飲食ご遠慮下さいの文字。慌ててパンを呑み込み再び出発する。


鍋割山


鍋割山の標識


奥の院


奥の院の標識

 
御岳神社


御岳神社の狛犬

御岳山のあたりは道が複雑で山中より迷いやすい。しかし、今回ばかりは山岳レースの看板があるので素直に日ノ出山への登山道に辿り着くことが出来た。日ノ出山は意外とポピュラーなようで、山頂は昼食を摂る団体であふれんばかり。皆は素晴らしい景色を眺め賞賛しおしゃべりに夢中だが、三角点そばの岩の脇に沢山の花を咲かせているセンブリには誰も気づかない。

 
日ノ出山とセンブリ


日ノ出山の三角点

ここからはほぼ下り一方。梅野木峠を越え三室山を目の前にする。一応地図に名の付いたピークは拾うことにしていたのだが、今回ばかりは疲れが目立つうえに見上げる登りは岩がちで少々不安。ということで、巻き道を選んでしまった。次回はしっかりとピークを踏ませてもらおう。
琴平神社をお参りし梅園にたどり着いたところで舗装道路となる。途中で見かけた酒屋で500MLのビールを購入し飲みながらのんびりと駅に向かう。辿り着いたら少し前に上り電車が出たばかり。真っ直ぐ歩いていれば乗れたものをと反省。30分後の電車に乗ったが座れず、立ったまま昨日の残りのウイスキーを飲みながら帰宅の途についたのでした。


ヤクシソウ


セキヤノアキチョウジ


ツルニンジン


ツリフネソウ


カメバヒキオコシ


シラネセンキュウ


サラシナショウマ

今回は、荷物が35Lザックに入らなかったので60Lザックにしたため、使いそうにないものも詰め込み結局20キロ近くなっていた。おかげで体力の配分を間違え久しぶりのへろへろ登山となってしまった。訓練としては良かったのだろうが限度をわきまえて頑張るようにしないといつか大失敗をしてしまう。気をつけよう。
また、初日に登った惣岳山への登りで、耐久レースに出場していた選手が私の通過した数時間後に滑落して亡くなったそうだ。そんなに危険そうな場所ではなかった気がするのだが疲れてくると何が起こるか判らない。ご冥福をお祈りすると共に、我が身に起こらないようこれからも安全登山に努めたい。