2007年11月11日
草花丘陵
カワラノギクと玉川上水

今回は、稲城野草散策の会の観察会で、多摩川の玉川上水の取水堰のそばの草花丘陵に行った。
草花丘陵とは粋な名前を付けたものだと感心していたが、由来は江戸時代に遡り「焼き畑の端っこ」という意味だそうだ。ちょっとがっかり。

羽村駅に10時集合。ついさっきまで降っていた雨は止み、何とか傘無しで歩けそうだ。多摩川に向かって下って行く。禅林寺に立ち寄り、キチジョウソウと雨に濡れそぼったフユザクラを観察。更に進んで玉川上水を渡り、多摩川の土手に出る。いつもの見慣れた河原とは違い、上水取水のための施設が幾何学的に築造されている。とても複雑なそのラインに不思議な感動を覚えた。


禅林寺山門


キチジョウソウ


橋から羽村堰を見る

橋を渡ると最初の目的地であるカワラノギクの繁殖地。地元の保存会の方が先日の台風の際の被害の回復整備をされていた。カワラノギクはゴロ石が転がる河原に生息するキクなので、洪水の際、水の抵抗が少ないように葉が細く、流されないように根が深いということで納得。2年草なので今年咲いた株とロゼット状になっている株が同居している。今年は大水にもめげず沢山咲いてくれたが、来年用のロゼットが少なく寂しいとのことだった。保存会の方にお礼を述べた後土手沿いを歩く。


カワラノギクの保護区域


カワラノギク


センダングサ

在来種であるセンダングサが外来種であるコセンダングサが繁茂していない場所でそっと咲いている。花も小さく実も数が少ない。これでは負けてしまって当たり前・・・

シロダモ

シロダモは雌雄異株。見かけたものは雌株で、昨年咲いた花から出来た赤い実と今年の花の両方を見せてくれた。

スズメウリ

スズメウリは直径1cmくらいの白い実。食べるとほんのり甘くスイカのような味。

センダン

センダンの大木。実が沢山なっている。「センダンは双葉より芳し」のセンダンは、実はビャクダンを指しこの木のことではない。従って、この木に強い芳香はない。

牛枠の説明板


実際に牛枠が並ぶ

郷土博物館の東屋で昼食。出発までの空き時間で郷土博物館を見学。玉川上水の歴史が模型等で詳しく解説してあり楽しく理解することが出来た。

ノササゲの実

昼食後は、草花丘陵を登る。標高が低い割には深い森。沢沿いに登るがしっかりした流れがある。

ノササゲの実は、鞘と種子の紫色のコントラストが素敵。

羽村神社

暫く登ると羽村神社に到着。ここの見晴台からは、多摩川によって形成された河岸段丘と玉川上水取水堰の様子がじっくりと観察できる。
更に登って浅間岳。標高235.1m。すぐそばに四等三角点。ハイキングの女の子がお昼の弁当を食べていた。

狭い広場に似合わぬ立派なフェンス。裏手にゴルフ場があるのでその玉除けか。きっと昔事故があったのだろうなあ。

その裏に、ゴンズイの赤い果皮から現れた黒い種子。これも結構素敵。

浅間岳


浅間岳の四等三角点


ゴンズイの実


広場の奥にフェンス


護岸のヒメツルソバの群落


ヒメツルソバ

ゴルフ場のフェンスに沿って東方向に下ってゆく。雨が降ったばかりなので赤土の斜面が滑りやすく気をつけて下る。東側にある大澄山手前でいきなりの土砂降り。登頂はあきらめ車道を下り土手に戻った。
この後は橋を渡り返し、朝立ち寄った禅林寺にお参りし、「大菩薩峠」の作者である中里介山の墓を訪ね、解散となった。この後、立川駅に向かいいつものさくら水産で反省会を行ったのはいうまでもない。