2007年12月8日
大山三峰バリエーション1
惣久経路・杉ノ沢右岸尾根・杉ノ沢左岸尾根・宝尾根
熊さんに会いました


この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図数値地図50000(地図画像)、
数値地図25000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。(承認番号 平19総使、第184号)

本厚木0655−0730煤ヶ谷0732〜0827(415m)〜0902(616m)0907〜0939尾根道〜1022大山三峰北峰1025〜1127唐沢川〜1130杉ノ沢出合(昼食)1200〜1221熊に出会う〜1244尾根道〜1300竹沢ノ頭1305〜1329(777m)〜1421マス釣り場事務所1452煤ヶ谷



椿丸でバリエーションルートの味を占めた私は、まず手始めとして大山三峰近辺の尾根を歩いてみることにした。
以前鍋嵐を一人で歩いたことがあるので何とかなるかと思ったからだ。

始発の宮ヶ瀬行きバスに乗り煤ヶ谷で下車。谷太郎川沿いに歩いて行く。清川リバーランド入口の向かいが尾根の取り付き。早速尾根に飛び込む。少し登り鹿柵の扉をくぐる。そこには名札の付いた樹木達と朽ちかけてはいるが木階段がある。以前は自然観察ルートになっていたのだろうか。右手に鹿柵を眺めながらひたすら登る。植林地も一部あるが全体的に明るい尾根。最後は背丈を超える笹をかき分けひょっこりと一般登山道に出る。


朽ちた階段が残っている


明るい尾根


616m

熊の爪痕


ヤブをかき分け


尾根道に飛び出す

ここから大山三峰に向かう。目的地は三峰の北側ピーク。右側の尾根の形状を地図と照らし合わせながら進んで行く。鎖付の急登を登り左に三峰最高峰が見える目的地に到着。右側に伸びる尾根を確認する。

休憩の後尾根を下り始める。ここで大失敗。本当は、大きな尾根の右端で痩せて切れ落ちた部分を進まなくてはならないのだが、最初は尾根がやや広いために左よりのコブに向かって進んでしまい、コブ岩の脇を木にぶら下がって巻きながら下りていってしまいついに崖っぷちに辿り着き行き詰まってしまった。

足元が危うい中地図とコンパスで確認したところ、南西に進むはずが真南に進んでいる。このままでは沢に入り込んでしまう。仕方なく、今下りてきた岩々をよじ登る。しばらく登ると西側にトラバースの足跡を発見。何とか本来の尾根に戻る。

この尾根は最初のうちは痩せていて結構スリルにあふれる。両側がすっぱりと切れている部分も多く、痩せ尾根の樹木が倒れたり洗われたりして根が露わになり、まるでネットようになった上を歩かなければならない場所もあった。これを空中歩行と呼んでいる人もいるようだ。

沢音が聞こえ始めると尾根が二俣に分かれる。より長く伸びている右側を進み始めたのだが、地図で確かめると右側に尾根は派生しないはず。ということで、トラバースして左側の尾根に乗り直した。程なく、唐沢川に到着。少し進んで杉ノ沢出合で昼食とした。

ここから南に向かう


両側が切れ落ちた
痩せ尾根


空中歩行ができる


唐沢川に到着


ナメの横で昼食

尾根を眺めながら食事をして気が変わった。本来はこのまま川を遡り、唐沢峠に登って三峰方面に戻るつもりだったのだが、目の前にお手頃な尾根が伸びている。地図で確認すると右に湾曲しながら杉ノ沢沿いに登れそうだ。等高線もそれほど密でない。ショートカットコースだなどと一人で納得。早速登り始める。

これがいけなかった。最初は順調に進む。杉ノ沢川は切れ落ちているものの右側はなだらかな尾根だ。ところが尾根が右に曲がり始めると右側の沢が岩を露わにして迫ってくる。痩せ尾根と言うよりもロッククライミングという方が正しいような様相になる。最初の頃無理して岩を登ってしまったので今更下りは無理っぽい。その上、噂に聞いた熊の糞の様なものが見つかった。怖くなって「ヤッホ」のかけ声を掛けながら急登を登って行く。

何度目かの岩場を目の前にして立ち止まったところすぐ頭の上でガサガサッという大きな音。すぐに音は右に流れ岩の向こうの尾根筋を黒い物体が駆け下りる。こちらからの距離は20m程だろうか。猪かと思ったら耳が丸い。熊だ。その後からやや小型の熊が2頭、先頭の熊を追いかけるように駆け下りて行く。3頭かよ・・・!わたしは、声を出すのも忘れ、護身用に持っていったピッケルを構えるのも忘れ、ただ呆然としていた。

何分経ったのだろうか。我に返り、「ヤッホ」と叫んでみる。声が裏返っている。先日熊と戦ったマシラ氏の話を読んだが、あれができるのは常人ではない。一般人は只呆然としてやられてしまうのだろうなあ。気を取り直し、大きな声を出しながら再び登り始める。岩を越え右に進むと、今まで熊さん達が遊ばれていた場所が見えてきた。土が耕されフカフカ。でも、しっかり熊の爪痕が残っている・・・


熊さんの遊び場


さっき下りた
杉ノ沢右岸尾根


この岩の両側は
切れ落ちた崖・・・


ここにも熊の爪痕

久しぶりに怖い思いをしながらようやく尾根筋に到着。三峰方面に向かいひとつ手前の竹沢ノ頭に到着。境界尾根と宝尾根を確認。宝尾根を下り始める。最初は痩せ尾根と急な下り。ネットで読んだとおり、トラロープが設けてあるので意外とすんなりと下りる。一番怖いのが平らな痩せ尾根で気を緩め根っこにつまずいて転倒すること。2回転びかけた。危ない危ない!

ぞろ目の777mは無事通過。次に尾根が二又に分かれて左左に曲がらなければならなかったのだが、分岐地点で鹿柵と樹木の伐採跡や赤テープに導かれてそのまま真っ直ぐ進んでしまった。

尾根を下りきったところに「清川宝の山」の石碑はあった。結局辿り着いたのは矢太郎川マス釣り場の事務所前だった。事務所の犬に吠えかかられ思わず後ずさり。脇の沢の中を無理矢理通って釣り場である川に出た。事務所の方が出てきて「さっさと上がれ!」とおしかりを受け、あわてて林道まで進む。

そこからは舗装道路をひたすら歩き、ようやく煤ヶ谷バス停に到着。横の酒屋でビールを1本飲んだところで丁度バスに乗ることができました。

トラロープの急な
下りを振り返る


白ザレの痩せ尾根


777m!

宝の山の碑

今回の反省点。

1.誰も行かない尾根はそれなりの理由がある。危険だったり、熊がいたりする。
  (熊さん、お家を荒らしてごめんなさい。)
2.途中で予定を変えない。もし遭難したらどうするの・・・
3.地図はこまめに確認。行き過ぎてから戻るのは大変。

ということで、反省点の多かった山行ですが、これからはあまり無茶をせず計画に基づいて安全登山を楽しみたいと思います。