2007年12月23日〜24日
雨山峠〜同角ノ頭〜檜洞丸
疲れ果ててビバーク



この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図200000(地図画像)、数値地図50000(地図画像)
及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。(承認番号 平19総使、第184号)


2007年12月23日
寄07.25〜07.57寄大橋〜09.00休09.05〜09.58雨山峠10.05〜10.32玄倉林道〜10.48ユーシンロッジ11.03〜12.00大石〜12.26大石山12.35〜13.20休13.25〜14.15同角ノ頭

2007年12月24日
同角ノ頭07.13〜08.05石棚山山稜登山道合流〜08.20ツツジ新道合流〜08.40檜洞丸08.55〜10.25ゴーラ沢出合〜11.05西丹沢自然教室バス停



12月23日


ヤドロギ大橋のフユザクラ

今回は、ユーシンロッジを眺めてから同角山稜を登り、できれば臼ヶ岳からユーシンに下りて鍋割山に登り返し鍋焼きうどんを食べようという計画。
このところ足の調子が良いのでどこまで歩けるか楽しみだが、いざというときのためにビバークの用意だけはした。

初日は始発の寄行きバスに乗った。昨夜からの雨はまだ止んでおらず雨合羽を着て出発する。寄大橋に到着するとフユザクラが沢山の花を付けていた。寄沢の水量が多いようだったら檜岳経由で雨山峠に向かおうと思ったが、意外と水量が少なくそのまま沢を進んで行く。

雨天時危険の看板

雨山峠までの路は、以前歩いた時より荒れている感じがした。今年の大雨のせいかもしれない。雨山峠から先は初めての路。雨山沢に沿って下りて行くのだが、中腹を巻いて行くので高度感があり、支沢で崩壊している部分などは慎重にザレた部分を進む。鉄製の桟橋は下を見てドキドキ。丸太を並べた木橋もあるが、濡れていて滑りやすい。1回滑って尻をしたたか打った。そのまま谷に落ちなくて良かった。

峠手前は
ナメの沢を歩く


雨山峠
ここからは初めての道


沢沿いを行く


桟橋が続く

玄倉林道に出て、ほっとして上を見ると、いつの間にか青空となっていた。

しばらく林道を歩くとユーシンロッジに到着。今晩泊まることになるかもと思い避難部屋を探そうと思ったが、どこにあるのかよくわからず諦めて先に進む。


玄倉方面通行止めの標識


ユーシンロッジの避難部屋は何処?

鉄橋を渡り大石山への急登にかかる。先日の熊の件もあるので声を出しながら登って行くが、出会うのは鹿ばかり。白いお尻を振りながら走る姿は何とも愛らしい。今回はビバーク覚悟でテント用具まで持ってきたのだが、これがかえって悪かったようで、背中の荷物が重く大石山の急登がとても辛い。足を止めてはいけないと思い必死に進むがスピードが出ない。それでも大石山の名の由来である大石を眺め、頂上に辿り着いた時にはほっとした。

山頂からの眺めは邪魔するものが無く素晴らしい。蛭ヶ岳から塔ノ岳間のでの稜線が白く雪に染まっている。蛭ヶ岳の向こうは雲海なんだろうな。滝雲が流れてくる姿も山が生きている気がして感動的。


シカを追う


大石


大石近景
上には登りませんでした・・・


同角尾根より
富士山を見る


大石山より蛭ヶ岳・丹沢山・塔ノ岳を望む



大石山直下の鎖場


鎖場を下から振り返る

ここから先は痩せ尾根や鎖場が続く。まずはいきなり白ザレの大きな急斜面。高度差は20m位あるだろうか。鎖を頼りに下りるのだが、全体にぬっぺらとしており摩擦だけが頼りなので非常に怖い。今年夏に歩いた北アルプスの飛騨泣きのミニチュア版というところだ。

この後も結構スリルにあふれる道が続く。高度が上がるにつれ雪が積もっている部分も出てきた。痩せ尾根に雪が積もると、滑ってしまえばひとたまりもない。しかし、その下には落ち葉が積もっているので、キックしながら足元を確認して進んでいった。

そんなことをしているものだから、疲れも増してペースが徐々に落ちてゆく。登りの時には10歩進んでは一休み、5歩進んでは一休みという状態になってきた。ようやく辿り着いた同角ノ頭でテーブルに座り込む。
20分ほど休んでいるうちに霧がかかって先が見えづらくなってきた。急がなくてはと先に進むが、雪に隠れて路が解らない。先の方にはきっと階段や手摺りがあるのだろうが、周囲を歩いても見あたらない。とりあえず尾根を歩いて行くという手もあるが、下りの後の尾根の登り返し方向を誤ると、どこへ連れて行かれるか解らない。地図を見ても途中で尾根を曲がるんだよなあ。ということで、不本意ながら3時前にビバークの決断をして、再び同角ノ頭に戻り段取りを始めた。

水も少なくなっていたので残った水をコッヘルにあけてバーナーを焚く。周囲の雪をすくってコッヘルに詰め込む。いっぱいになって沸騰したところで浮いているゴミをすくい取りテルモスと、プラティパスに移す。3回繰り返して明日の飲料水も確保してからテントにはいる。食欲はない。昼食の残りのパンをかじり、アーモンドチョコを3粒、ウイスキーを飲んでひと心地。足が痙る。芍薬甘草湯を飲み、カンメルパスタをすり込んでマッサージ。寝袋に入ってラジオを聞きながらウトウト。大きなブナの下にテントを張ってしまったものだから、夜中じゅう枝から落ちる滴が当たってうるさかった。

深夜に雪を踏む音が聞こえ、しばらくするとテント越しに寝袋に入った私の頭を強く押す気配。我慢していたが、やがて気味が悪くなったので思いっきり頭突きを食らわした。気配はそのままなくなったがしばらく寝付くことができず、ウイスキーを再び口に含んでようやく寝付くことができた。



12月24日


同角ノ尾根から見た日の出

翌日は4時半起床。テントの外に出ると、西に丸い大きなお月様が青く輝いている。おかげで星の数はそんなに多くを見ることができない。東と南には街の灯りがキラキラと輝いている。腹が減っているようなので、テント内でおじやを作る。沸騰した湯気がテント内にこもり霧の中にいるようだった。食べ終わってもまだ外は暗い。もう一度シュラフに潜って惰眠をむさぼる。

6時半再び起床。テントを片付けストレッチをして7時過ぎに出発。昨日探しても見つからなかった登山道は、西にまっすぐ行った辺りではなく、北側に寄ったところにあった。

判ればしめたものでとっとこ進む。しかし、雪が積もっているところは良いのだが、木道の雪が溶けかかって再び凍ったところは非常に滑りやすく、特に慎重に進む。広い尾根になると路が判らないことも時々あり、その際にはひたすら高所を目指して進んで行く。ツツジ新道の合流地点まで踏み跡は私と鹿と犬?だけだった。

そこから先はさすがに踏み跡が沢山。アイゼン痕も付いている。檜洞丸に到着して一休みした後、ツツジ新道経由で下る。檜洞丸の積雪は15cmほどだった。


同角ノ頭のブナ


同角ノ頭からの下りは
木階段が続く


同角ノ頭を振り返る


足跡は私↑と
もうひとり↓

誰でしょう?

檜洞丸のブナ

檜洞丸山頂


檜洞丸より富士山を望む


ミツマタの蕾が
膨らみ始めている



花のように見えるが
ボタンヅルの種子

踏み込まれた雪は凍って滑りやすい。木道の桟に斜めにこびりついているので歩きづらいこと甚だしい。階段の踏み面も斜めに凍り付き足を置くだけでツルンと滑る。3回滑り尻餅をつく。1回は谷側に滑ってしまい、顎が柵のロープに引っかかって助かった。せっかくアイゼンを持ってきたのだから装着すればいいものを、めんどくさがって付けなかったのを神様が懲らしめたのだろうなあ。

その後は、アイゼンは付けなかったものの、凍っている部分を避け、ストックを使ってそっと下りたのだった。雪が無くなってからはハイスピードで下りたつもりだったがバスに間に合わず、次のバスまで1時間ビールを飲みながらひなたぼっこをして過ごしたのだった。

家に帰って尻を見てみたが特に痣にはなっていないようだが、座ると痛い。
アイゼンはお早めに・・・

今回の反省
1.荷物は最小限に。
2.コースタイムを確認し、無理な計画は立てない。
  (いつもより荷物が多いのだからいつものようにスピードが出ないことを考慮する)
3.凍った雪道は無理せず早めにアイゼンを装着する。
  (みんなが付けていないからとカッコ付けない。
   ちなみに他の皆さんは初めからアイゼンを持っていなかったので
   付けたくても付けられなかったそうです・・・)