2008年3月8日
ゴジラの背〜宮ヶ瀬尾根
鍋嵐で鍋焼きうどん&宮ヶ瀬尾根の怪



この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)、数値地図25000(地図画像)及び
数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。(承認番号 平19総使、第184号)


本厚木駅0640=0710三叉路0713〜074515号橋〜0755ハタチガ沢の橋0757〜0851(677m)〜0925Jピーク〜0938鍋嵐1008〜1028(719m)〜103能ノ爪〜1043祠の分岐1045〜1050能ノ爪〜1110(道間違い)1124〜1150(597M)〜1156岩のピーク1204〜1208祠の十字路1210〜1230(617.2m)1237〜1300(525m)〜1325清川トンネルへの分岐〜1335湖畔突端〜1409(525m)〜1446林道端部〜1505土山峠



唐沢峠付近を歩いていると、この北側に位置する宮ヶ瀬付近が気になってくる。このところ、シチミさんやM−Kさん、AYさんが歩かれているご様子。、そのオーラに導かれるように、宮ヶ瀬バリエーションルートの基本である、ゴジラの背から宮ヶ瀬尾根を歩いてみることにした。

まずは、カシミールを起動し、1/25000の地図とにらめっこしてルートを決める。
湖畔周回道路が有るようなので取り付きと最後はこれを利用することとし、計画したコースは以下の通り。

三叉路からヤビツ峠方面に向かい途中の橋を渡ってゴジラの背に取付き鍋嵐まで行く。
ここで、表題通り『鍋嵐で鍋焼きうどん』を実践してみる。
その後、祠の分岐までいって参拝した後、少し戻って能ノ爪から宮ヶ瀬尾根を下り、湖畔に出たところで周回道路を時計回りに歩いて土山峠に行く。

こんなコースを考えた。

当日は、みろく山の会の会山行も幾つか計画されいた。
大山三峰に行くメンバーと電車の中で一緒になり、「もしかしたら帰りのバスが一緒になるかも」と話していた。結果はまさにその通りになり、夕方本厚木で反省会に飛び入り参加させていただいた。
また、ガタクリ峰に行くメンバーとは、本厚木駅改札でお会いし、丁度タクシーで向かうのに席が1つ空いているからということで、三叉路まで同乗させていただくことになった。お陰様で、30分早くスタートすることが出来た。


左が宮ヶ瀬尾根、右がゴジラの背

ヤビツ峠への道を歩いていると正面に宮ヶ瀬尾根とゴジラの背が見えてくる。清川トンネルも山腹に口を開けている。途中の広場では、焼けただれた車が1台。これってずいぶん前からあるよなあ。どなたがどういう手続きで片付けることになるのだろう。30分ほどで対岸に渡る橋に到着。一般の林道のように脇をすり抜けるスペースがない。2往復して確認したが潜り方が判らないので仕方なくワープしたが、勢い余って仰向けにひっくり返ってしまった。背中のザックの中から鍋焼きうどんアルミ椀の歪んだ音がした。


駐車場の焼けた車


このゲートから入る

橋を渡りながら対岸を見ると、右手斜面に単管とステップなどで組んだ通路がある。急な斜面に設置されている姿は、山寺への険しい道のよう。何処へ続いているのだろう。

渡り終えると路は湖に沿って北に向かう。暫く歩くと沢を渡る橋。橋の先に沢上流に向かう道が続いている。これがハタチガ沢とハタチガ沢林道のようだ。ゴジラの背はこの林道で分断されている。トカゲのように尻尾を切られたゴジラだね。

改めて橋の中央からゴジラの背を眺めてみる。どこから取り付くのだろう。真正面から尾根を登るのが良いのかも知れないが、とりあえず左を巻くように踏み跡が続いている。これを行ってみた。踏み跡は水平に続いており、なかなか尾根に上がろうとしない。そのうち深い沢がハタチガ沢から伸びてきて行く手を阻む。この時点で踏み跡をあきらめ無理矢理斜面を登り尾根に取り付く。勾配がきつく結構怖かった。皆はどのあたりから取り付いているのだろう。


ゴジラの背の取り付き部


対岸右に仮設歩廊


ハタチガ沢林道が延びる

一旦尾根に乗れば多少痩せていても楽しい尾根歩き。右に丹沢三峰への尾根、左に宮ヶ瀬尾根を眺めながら上り下りを繰り返し次第に標高を上げてゆく。9時半近くにジャンクションピーク。おねがT字型に交わる。ここを左に曲がる。この先は尾根上にも若干雪が残っている。凍り付いた部分で滑らないよう慎重に登る。一旦下って登り返すと鍋嵐に到着。


ようやく尾根に取り付く


楽しい尾根歩きの始まり


尾根は結構やせている


宮ヶ瀬尾根方向を見る


根の上を歩く


丹沢三峰方面の尾根


ジャンクションピークの杭


鍋嵐手前には雪が残る


鍋嵐に到着

鍋嵐頂上


忘れ物のバッジ

鍋嵐は三つの尾根が交わっている。一つは今歩いてきたゴジラの背。もう一つはこれから向かう能ノ爪への尾根。そしてもう一つは唐沢川の黒岩に下る尾根だ。この黒岩からの尾根は、ちょうど1年前に初めて単独Vルートを歩いた記念碑的山行だった。当時はおっかなびっくりでものすごい大事業を成し遂げた気がしたが、今となってはお恥ずかし限りだ。

さて、本日のメインイベント『鍋嵐で鍋焼きうどん』だ。時刻は9時半。昼食にはまだ早い。実は、本日の朝食は、外食したため食べなかった昨日の夕食。内容は、ウナギの蒲焼き。朝からカロリーの高いものをしっかり食べてきたため全然腹が減っていない。でも、ここで鍋焼きうどんを食べないと今日の山行の意味がない。腰を据えて調理にかかる。幸い、朝転んだ際に異音がした鍋焼きうどんセットの椀は歪んだだけで壊れていない。タッパーに入れてきた生卵がヒビが入っているだけだ。ネギとエノキダケも加え煮込む。出来上がって写真を撮ったがなんだか見映えが冴えない。仕方なくは食べ始め半分くらい食べ終わったところで、脇に落ちている七味唐辛子とアサツキの袋に気がつく。これを振り掛けたらとても鮮やかで綺麗になったが、食べかけを皆さんにお見せするわけにはゆかないので写真はあきらめた。


鍋焼きうどんを
段取り中


できあがったが
色が冴えない


鍋嵐頂上から丹沢山方向を望む

超満腹になって再出発。途中の719mのピークは南側に巻き道がついている。私は当然ピークを通って行くのだが、なにやら南のほうで音がする。さてはクマかと大声を上げて存在を誇示する。ピークを通過し能ノ爪方面に下ってゆくと、向こうから3人組の登山者。挨拶をすると、「峠はそこですか?」と私の背面のピークを指して聞くので、「峠ではないですが719mピークですよ」と説明すると「ありがとう」といって通り過ぎてゆく。一旦見送ったが、ふと不安になって、「何処に行くのですか」と聞くと、「物見峠へ」というではないか。詳しく聞くと、祠の分岐で行く手が下り坂になっているのでそちらではないと思い祠の裏手の尾根を登ってきたとのこと。(そんなの地図を見れば下るのは判るじゃないか)と言いたかったが、とりあえず先程の祠の所まで戻り下る道を進めば物見峠に行き着くことを説明した。当人たちは、判ったようだが、それでも折角ここまで来たからとピークに登ってから戻るという。もう勝手にしろと思い、先を急ぐ。

祠の分岐でお参りをし、さっきの3人組が気になったので、ハイキング道を物見峠方面に進み能ノ爪方面への分岐に物見峠方面への道標があることを確認し能ノ爪へ巻き道を通って戻る。先程の3人組には、能ノ爪手前で会うことができた。もう一度戻るルートを説明し、祠の分岐手前の尾根を登らず右手に巻き道があるからそこを進めば道標のあるハイキング道に合流するからと説明し別れる。それにしても、地図くらい持って来いよなあ。


能ノ爪までもやせ尾根


立派なモミの木


能ノ爪


祠にお参り

気を取り直して能ノ爪から宮ヶ瀬尾根にはいる。広くて楽しい尾根。右手には噂の植生保護柵が作られている。お伺いしたとおり大きな四角形に区切られたブロックが並んでいる。柵に沿って進むと正面に「右へ」と書いた杭。あれっと思い地図とコンパスを出して確認するとこのまま真っ直ぐに進むと北西に延びる尾根に連れ込まれてしまう。植生保護柵が正確に南北に延びているので北東に延びる本来の尾根を見逃すところだった。

進行方向をやや右に向けて進むと、有名な「不思議のみずき」に出会う。ストック掛けではないらしいが、私には帽子掛けに見えたので、自分の帽子を掛けてみた。ブランコもしてみようと思ったが、テープスリングの長さが足りずあきらめた。


ここを柵に沿って右に曲がる


宮ヶ瀬尾根の広い尾根を振り返る


不思議のミズキ
(帽子掛?)



植生保護柵が続く

この後も広い尾根を楽しく順調に進むが、正面に597mピークを望むと急な下りとなる。真っ直ぐ進むと谷になる。左右を見渡すと左に細い尾根があるがとても急な下りだ。それに比べ右側は左より勾配が緩くなにやらテープや木杭もある。右だと判断し10分ほど下りふと左を見ると見上げる高さに立派な尾根がつながっているではないか。しまった、間違えたということでひと思案。このまま進んで正面の植林地を登り返すか、戻って改めて左の尾根を通るか。でも、正面の斜面はものすごい急に見えるし沢に入らなくてはならない。ということで、一旦戻り改めて左の急尾根を下った。

597mのピークは植林地の中で、大きな二本のモミの木があった。更に進むと岩のピーク。ここで一休み。すぐ脇にはシキミの花がほころび始めていた。ここから少し下ると木の根元に祠がある。両側の沢から仕事道が登ってきているようで十字路を形成している。お参りをしてから更に進む。
617.2mピークは三等三角点。すぐ脇にベンチに丁度良い樹がある。ここでも休憩。


597mピークの
二本のモミ


岩のピークに到着


ピークの脇にはシキミの花


四つ辻の祠

四つ辻の祠
中に神様が映っている


617.2mの三角点の広場


三等三角点

次のピークは525m。辿り着いてビックリ、立派な道標が建っているではないか。東が土山峠方面、西が清川トンネル。少々疲れてきていたので、ここから土山峠にショートカットかななどとも考えたが、宮ヶ瀬尾根をきちんと下ろうと思い直し尾根筋を下る。清川トンネルへの経路は尾根筋をジグザグに進んでゆく。経路は355mピークのある支尾根の方に進む。私もそちらに進もうと思っていたのでラッキーと思いながら進んだが、経路は左にぐっと進み、一番北まで延びる尾根のほうに進んでゆく。ここでまたひと思案。やはりメインの尾根を最後まで進もうと思い直し(実は歩きやすい道があるのだからそちらを通りたい)、経路に沿って進んでゆく。そろそろ周回道路に出てもいい頃だと思ったところで、経路は尾根を外れ左に旋回する。丁度、そちらから一人登山者が登ってきた。来週の山行の下見で、宮ヶ瀬尾根を登ってゴジラの背を下るそうだ。この経路は何処につながっているのか聞くと、このままだらだらと清川トンネルまで向かうとのこと。それではつまらないと思い、経路を外れて再び尾根を下ってゆく。しっかりした踏み跡が続いているが、突然林が途切れ10mほど下に湖面が広がる。周回道路は何処へ行ったのだろう。

実は、本厚木からのタクシー車内で周回道路のことが話題になり、「地図にはあるが実はないらしい」という『又聞き話』を聞き心配になったが、土山峠を過ぎたところで橋がしっかり見えた場所があったので、まあ何とかなるだろうと思ったのだった。

湖岸沿いを歩けば何時か周回道路に出会うとも思ったが、先程の『そもそも道がない』の話を思い出し、湖に落ちたら寒いだろうな、溺れちゃうだろうなと思い、またひと思案。。その時、先程の525mピーク道標の意味が分かった。周回道路の代わりに経路を確保したのだ。

では、どちらに進むか。一つは、清川トンネル側に出て朝転んだゲートを越えて三叉路に戻る。もう一つは、何処を通るのかよく判らないが道標に従って土山峠に向かう。考えた末、土山峠コースを選択、折角下った道程を525mまで登り返した。


525mの道標

経路を進む


尾根は周回道路に出会うことなく、
突然湖に消える


散弾銃の薬莢が落ちている


湖が近くなる
ここから土山峠までは尾根がつながっていない。地図にも道の記載はない。従って、これから歩く経路を見失うと完全に帰路が判らなくなってしまう。枯葉に覆われた路を慎重に進む。結局、この経路は535mから北東に伸びた尾根を右往左往しながら下り湖岸近くになって南東にトラバースする。沢を一つ、尾根を一つトラバースしたところで周回道路の橋に辿り着いた。辿り着いてみれば、周回道路はここまでしか完成していなかった。橋のすぐ先で突然終わる。また、1/25000の地図で記載があった道路は、崩壊し先端は湖の中に水没していた。

1/25000及び1/500の地図は、湖面近くを通っていた工事用道路と工事予定だったが中断している周回道路をまぜこぜにして、ありもしない道路を記載してしまったのか。ともかく、実際には無い道路は消しておいて欲しいものだ。

尾根を下ると
秘密の入り江に到着

入り江に注ぎ込む沢


入り江に下りる仮設通路


周回道路に到着


この先は工事中


橋から数十メートルで
突然道は終わる


下には工事用道路が
無惨に崩壊途中


土山峠の座禅岩

1回の路迷い、1回の不慮の登り返しのため、14時56分のバスにタッチの差で間に合わず、座禅岩の脇で瞑想(迷想)にふけり、15時56分のバスに乗ったら、朝会ったみろく山の会の大山三峰組と煤ヶ谷で合流することになり、そのまま本厚木反省会へと突入したのでした。

今回、何とか無事に宮ヶ瀬周辺Vルート探訪基本ルートの確認が出来ました。おかげで、今までシチミさんやM−Kさん、AYさんがお話しされていたルートの状況が少し分かるようになりました。しかし、宮ヶ瀬は尾根から沢への傾斜がきつい。それに、湖水に囲まれ逃げ道がない。ここを縦横無尽にVルート登破している方たちはものすごい力量の持ち主なのだと改めてビックリ。私の宮ヶ瀬Vルートデビューはまだまだ先だろうなあ。