2008年5月18日
越沢バットレス
登れたけれど恐怖でいっぱい

今回は、夏の北岳バットレス挑戦に向けて、奥多摩の越沢バットレスで練習。
一番簡単なところでもW+ということで、行く前から完全にびびりモード。

駐車場から登山道を進み、途中で越沢キャンプ場への分岐を進む。
間もなく沢に到着。綺麗な流れを横目に鎖場や丸木橋などを楽しみながら進んでゆくと、目の前に越沢バットレスが現れる。
見た途端に唖然。いったいどこから登るというのだろう。圧倒的な圧力で目の前に覆い被さっている。
この時点で、気分は帰りたいモード。しかし、廻りの雰囲気に負け、黙々と準備をする。


越沢バットレス全景

中央上の斜めの部分が第2スラブ
そのしたの急勾配が第1スラブ
右奥が滑り台と呼ばれる第3スラブ。


第2スラブ


第1スラブ


中央奥が第3スラブ


第3スラブを拡大

最初は右側の一般ルート。最後に滑り台と呼ばれる第3スラブがある場所だ。この時点で極度の緊張のため、いつもは持って行くカメラ、チョーク、大事な手袋まで忘れてしまっていた。
つるべ方式で行くため、新米の私は最初はセカンドで行く。セカンドでもマジ怖い。もうはじめからA0モード。何でも利用してしまう。1ピッチ目の支点の位置を通常より手前にとったため、滑り台を私がリードすることになってしまったのだが、さすがに無理。申し訳なく思ったが、リードを交代してもらいセカンドで登った。

午後からは、第2スラブルート。これも3ピッチだが、一番簡単な2ピッチ目をリードで登ることが出来た。核心である3ピッチ目の第2スラブは、最初のへつりがとても怖いが、セカンドなので右手のヌンチャクを掴んで立ち込めば、ルートを先に見させていただいた部分に足掛かりがきちんと見つかるので、見た目ほど恐ろしくはなかった。

とはいえ、落ちたときの衝撃と怪我を想像するととても恐ろしい。
下からは、勾配が緩く見えるところも実際に取り付いてみると覆い被さっているように感じる。
ほとんどのピッチをセカンドで登ったので、ルートは確認することが出来たし、いざとなれば思い切りロープを張ってもらえばそんなには落ちないのだろうが、万が一を考えるととても怖く、唯一リードしたときには緊張で吐き気を催すほどだった。

本来は、各ピッチの状況や登ったときの感想など書くべきなのだろうがとてもそんな余裕はなかった。
ただ、最も恐ろしい3ピッチ目の第2スラブに取り付く前に、後からリードで追ってきていた清水さんから、「手の力に頼るようなことをせず、とにかく足元をしっかり確保すれば落ちることはない。」とアドバイスを受けたあと、不思議に気持ちが落ち着いた。
その後、一歩一歩足元を確実に確認し踏み締めながら進んでいったところ、思いの外スムーズに恐怖感もなく進むことが出来た。これが今回の収穫のような気がする。


懸垂降下地点から滑り台(第3スラブ)を見下ろす


滑り台横の懸垂降下地点


第2スラブルート1ピッチ目


第2スラブルート1ピッチ目支点から
登ってきたルートを見下ろす

第2スラブルート1ピッチ目支点から
上を見上げる。
真上が2ピッチ目支点


2ピッチ目支点から登ってきたルートを見下ろす
下のごちゃごちゃっとしたところを登ってくる。


2ピッチ目支点から第2スラブ下部をのぞく
絶対にこんな所は登れないと思った。


マルバウツギ

ガクウツギ


私は、何処までアルパインクライミングを進んでゆくのだろう。
今回のグレードぐらいが限界か。
とにかく北岳バットレスまで頑張ってみよう。