2008年6月1日
寄コシバ沢〜寄オガラ沢〜塔ノ岳
尊仏ノ土平を訪ねる



この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)
及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。(承認番号 平19総使、第184号)



新松田0713−0713寄0717〜0753寄大橋〜0810登山道入口〜0913寄コシバ沢出合0920〜1005鍋割峠上〜1020ユーシン分岐〜1039(1107m)〜1143林道〜1200尊仏ノ土平1209〜1304(1234m)〜1335不動の泉1345〜1400塔ノ岳1413〜1558大倉


本当は白馬尾根を登るはずだった。
前日、妻に自家用車を使う旨の話をすると、横にいた息子が、「僕の方が先にお母さんに使うって言ってた!」ということで、気の弱い父は慌てて公共交通機関利用の山行を段取りする。

ということで、今回は寄から寄コシバ沢を遡って鍋割峠に出てその先オガラ沢を下って尊仏ノ土平に行くことにする。オガラ沢は登れば判りやすそうだが下るのはなかなかルートが難しいとのこと。ただ、テープやペイントマークがたくさんあるそうなので何とかなりそうだ。

最初から調子が悪い。海老名から下り電車に乗るのだが、到着した電車が本厚木行きだったので乗らずに次の電車を待ったのだが、本当はこの電車に乗れば本厚木で始発電車に乗り継ぐことが出来るはずだった。おかげで、次の電車に乗って新松田駅下車後、ダッシュでバス停に向かう羽目になった。

新松田駅前のバス停では、西丹沢自然教室行きのバス停に大行列。臨時バスが続々出るほどの大混雑。ところが寄行きのバスは私意外に1人のみ。その一人も途中で降りてしまい、貸切状態だった。

登山道に入り、最初の渡渉地点で沢登りの2人組に合う。滝郷ノ滝のある沢に入ろうとしているそうだが入渓点が判らないのだ。もっと上流ではないかと思いそのように説明したが、別れて先行した時にGPSで確認したところ、入渓点はもっと下流であることが判明した。一旦戻り二人に説明したが、堰堤の位置から判断してもう少し上流に行ってみるとのことだった。自宅に帰ってからネットで調べると、登山道に入らないで手前のキャンプ場跡の河原を歩いて取り付くのが正しいようだ。あの二人は無事にたどり着けただろうか・・・

寄コシバ沢ノ出合に到着し、一休み。勾配がそれなりに急なものの滝があるわけでもなく登りやすい。だんだんと両岸が迫りV字型のそこを登る。少し滝登り気分。正面のガレ地の上に稜線が見えたところで、そこを登れば鍋割峠だと思ったが、右側にもう少し支沢が続くようなので行ってみる。岩だらけで岩登り気分。10m位登ったところでちょっと急勾配の岩壁。登り始めたがちょっと厳しい。後ろを振り返り、落ちたら10m滑落だなあと思いクライムダウン。巻こうと思って左を見たら、登山道の杭柵が見えた。それを目指してズルズルの斜面をトラバース。鍋割峠から少し東よりの登山道に出た。


寄から鍋割山方面を望む


支流を渡る ここが最初の鎖場

支流脇の滝


いよいよ寄コシバ沢を遡る


すぐに広い河原となる


両岸が迫ってくる


先がV型になっている


何となく滝のようだ

それなりに登ってゆく


先に崩壊地が見える
この先が鍋割峠だろう


右に沢が続くので
行ってみる


岩登りの様相になる


途中で左手に
登山道が見えてきた

本当は、ここから一旦鍋割山・塔ノ岳を経由してから寄オガラ沢を遡ろうと思ったのだが、鍋割山への登りの途中に下り取り付きが現れたのでショートカットと思い下ることにした。事前にネットで調べたとおりマーキングはたくさんあるので迷うことはない。尾根道と沢道の分岐もしっかりと確認できた。

マーキングを頼りに沢道を進んでいったが、尾根突端の樹にある矢印マーキングの先は大きく切れ落ちている。周りを見回すと、左側の斜面下に青いスズランテープがついている。矢印マーキングが間違いだと勝手に解釈しスズランテープの先を真っ直ぐ下って行く。急斜面を樹の根などを頼りにしながらズルズル滑り落ちるように下って行く。これだけヤバそうな道なのにマーキングが現れない。いつの間にか両側から沢が迫り尾根が無くなってしまう。気がつくと、右側に見える先程の切れ落ちた尾根の先がもう一度盛り上がって更に先につながっている。あれっと思い、GPSカンニング。予定ルートより左に逸れている。またやってしまったようだ。ずるずるの斜面を何度も滑りながら登り返す。先程の青いスズランテープの手前まで登ると先程通れないと思ったキレットへのトラバースの踏み跡があり倒れた枯れ木にマーキング。ここが、皆さんの記録にあった「ザレたキレットの先の大岩の手前を右に巻く」の場所だったようだ。

更に進むと尾根が左に曲がる場所がある。ここも両側が大きく切れ込んだザレのキレット。下るには2mほどの急勾配のザレを下る必要がある。登るときは何とかなりそうだが、下るには手がかりが難しい。ロープかシュリンゲを出そうと思ったが、左の崖下に何とか捕まれそうな樹を見つけそっと下る。手元を確保しながらザレを蹴り込んで足元を確保し、2mほど右にトラバースする。その後、下の鞍部に向かって、両側に振られないように気を付けながらズルズルと下る。かなりドキドキ。

その先を進むと小高いピークの手前で右に巻く踏み跡が続いている。マーキングはないが、ピークへの尾根をはずれて踏み跡に従い進んでみる。30m位行くと沢で途切れて先に行けない。間違えたかと戻り始めたが、思い直して2度目のGPSカンニング。すると、ここが寄オガラ沢の源頭であることが判明した。沢床に向かって下り、ようやく寄オガラ沢に入る。

黒いナメ床は何となく気味が悪い。それでも先程の白ザレのキレットに比べればたいしたことはない。私の足音に驚いたシカが斜面を駆け上がって行く。大きな滝はないが1m以下の小滝が続き楽しい沢歩きだ。しかし、熊に会うのが怖く「ホーイホイ!」と声を出しながら下る。礫と金網の堰堤が見えてきたところで、左岸の笹藪の中でガサガサっという音。姿は見えない。怖くなって更に大きな声を上げゆっくりと立ち去る。またドキドキ。コンクリート堰堤を越えると林道に出た。ほっと一息。この堰堤のあたりには、ドラム缶の輪切りのような大きさの配管が何カ所か立ち上がっているが、何の為なのだろう。


尊仏ノ土平方面への下り口


踏み跡がしっかり続いている


元気なブナ


立ち枯れたブナ


沢コースと尾根コースの分岐


寄オガラ沢を下る


ナメが続く


小滝その1


小滝その2


小滝その3


水量計のあるあたりが
オガラ沢の出合

林道を進み、尊仏ノ土平で昼食。広い河原が気持ちいい。ここから塔ノ岳までまた登る。この道は、県が管理する登山道としては比較的整備が行き届いていないようだ。これも、ユーシン玄倉間が通行止めになっている関係だろうか。玄倉林道は開通まで数年かかるようなので、その間に一回手を入れて維持管理する必要がありそうだ。

途中の不動の清水という水場で休憩。持ってきた1リットルの水の残りを飲み干し、新たに汲む。更に、顔を洗い頭からかぶって身体を冷やす。冷たくて気持ちが良い。休憩後15分ほど登ってようやく塔ノ岳頂上に到着。周囲はガスがかかって、微かに橋本方面が望めた程度。早々に下山にかかる。

ショートカットしてしまったので、今回は鍋割山はパスし、大倉尾根を下る。今までの最短記録は、ダブルストックを使って1時間55分。ストック使用の際は石突のゴムを外さないことが奨励されているが、ゴムを付けたままだと意外と先が滑り怖い思いをする。ということで、今回はストックを使わずにどれだけ早く下ることが出来るか試してみた。階段や斜面は小走りでも下れるのだが、ゴロ石を敷き詰めたところはどうしてもスピードが落ちてしまう。それでも、結局1時間45分で下ることが出来た。少しはダイエットした効果が出たかな。


林道に出た


尊仏ノ土平手前で箒杉沢を眺める


シロヤシオとトウゴクミツバツツジの花を敷き詰める

シロヤシオ


シロヤシオ


シロヤシオ


トウゴクミツバツツジ


トウゴクミツバツツジ


トウゴクミツバツツジ


塔ノ岳直下の不動の清水


塔ノ岳山頂

下山後、大倉屋でのビールと冷や奴を楽しみにして下ったが、丁度渋沢行きのバスが停車中で座ることが出来るので、そのまま乗ってしまった。そのため、渋沢駅で発泡酒を一本、自宅に帰ってから冷や奴丸ごと一丁とまた二本飲んでしまった。

翌日にはふくらはぎと大臀筋が筋肉痛で往生してしまった。
下山したら、慌てずストレッチをしっかりして(ゆっくりビールを飲んで)帰るべきだったと反省です。




ここからはシロヤシオとトウゴクミツバツツジ以外の花たち

ウツギ


ウツギ


マルバウツギ


ツクバネウツギ


ハコネウツギ


ハコネウツギ


ハンショウヅル


ハンショウヅル


スイカズラ


ガマズミ


クワガタソウ


ツルシロカネソウ


ニョイスミレ


ナワシロイチゴ


ジシバリ


ジシバリ


ヤマタツナミソウ

フタリシズカ


ヤマツツジ


ヤマツツジ