2008年8月14日〜18日
薬師岳・赤木沢・黒部五郎岳・双六岳・笠ヶ岳
北アルプスの尾根と沢を楽しむ



この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)
及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。(承認番号 平19総使、第184号)



20080813
池袋駅バス乗場2318−車中泊

20080814
0545富山駅前0605−0805折立0815〜0950三角点1000〜1235太郎平小屋〜1300薬師峠キャンプ場(泊)

20080815
キャンプ場0600〜0725薬師岳山荘〜0808次薬師〜0820薬師岳0835〜0911薬師岳山荘0921〜1050薬師峠キャンプ場1120〜1200太郎平小屋〜1240薬師沢左俣出合1255〜1450薬師沢小屋(泊)

20080816
小屋0555〜0715赤木沢出合〜0910大滝〜1020渓装解1050〜1057中俣乗越1230黒部五郎岳肩〜1245黒部五郎岳〜1300肩〜1505黒部五郎小屋(泊)

20080817
小屋0455〜0615黒部乗越〜0700三俣蓮華岳0715〜0800中道分岐〜0825双六岳0835〜0925双六小屋0945〜1110鏡平分岐〜1135大ノマ乗越〜1230大ノマ岳〜1320秩父平1340〜1520笠新道分岐1530〜1630笠ヶ岳キャンプ場1725〜1800笠ヶ岳1830〜1900キャンプ場(泊)

20080818
キャンプ場0555〜0700笠新道分岐0705〜0800杓子平0805〜1105林道出合1110〜1220新穂高温泉1250−平湯温泉−新宿



今回は、みろく山の会の会山行で赤木沢に行く。とは言っても、沢だけでなく薬師岳から笠ヶ岳までの縦走も併せて楽しむことにした。メンバーは5人。私ともう一人の男性が自炊テント泊予定。リュックの重さは20kgと初体験の重さ。天気予報ではあまり上々の天候とはいえないようだ。

20080813-14

池袋駅から富山駅まではバス。快適な3列シートでフットレスト付だ。ぐっすり眠って到着。バスを乗り換えて折立に到着。曇り空の中太郎平小屋を目指して登って行く。4時間少しで太郎平到着。テン泊組は更に進み薬師峠キャンプ場に向かう。テントを張った後、テント内でうたた寝をしていると、突然の雷雨。すぐ近くにも落雷しているようだ。雨量もものすごい。しばらくすると水の流れる音。よく見るとテントの水上方面に激しく水が当たる。水流のど真ん中にテントを張ってしまったようだ。水深は10cm程度。幸い浸水することはなく、2時間ほどで雷雨は去っていった。その後、テント外でインスタントラーメンの夕食。
テン場自体は快適。一人500円。この時期は管理人室があるのでそこに納めればよい。若干の飲料も売っている。缶ビール1リットル1200円也。トイレもバイオトイレでペーパーも備え付けてあり清掃も行き届いていた。水場は洗場付でよく出ている。但し飲用するには煮沸する必要があるとの掲示があった。


折立に到着


途中の三角点


太郎平小屋


薬師峠キャンプ場に到着




20080815

午前2時頃からテント撤収の物音がする。すっかり目が覚めてしまい、3時頃テントから出て湯冷ましを作る。5時頃卵スープで作ったおじやで朝食。太郎平小屋からの3人と集合し、テント内に荷物の一部をデポし6時出発。薬師岳までの路は時々雪渓の残るお花畑。ハクサンイチゲ、シナノキンバイ、ミヤマキンバイなどなど。頂上はあいにくの霧の中だったが、お堂脇の鐘を突き薬師様にお参りした。三角点はお堂の南側にあった。ちょうど座るのに良い高さで、他の登山者が占拠していたためなかなか見つからなかった。
この後、テント場・太郎平小屋経由で薬師沢小屋に向かう。どこを歩いても続くお花畑。高度と環境によって少しづつ植生が変わって行く。相変わらずの霧の中。今日は、近くにキャンプ場がないので薬師沢小屋に泊まる。小屋は、黒部川薬師沢出合の狭隘な場所に薬師沢側に約15度傾いて立っていた。傾いていると言うよりも歪んでいるといった方が正しい。いつ倒壊してしまうのだろう。1泊5500円。缶ビール1リットル1300円だった。自炊は夕食が即席ラーメン、朝食は食欲なくカロリーメイト。宿泊していた釣り師の方に話を聞くと、昨日の雷雨の際は薬師沢は鉄砲水状態、赤木沢も急に増水し19時近くまで徒渉が出来ず小屋に帰ってくるのが遅れたそうだ。明日はそんなことがなければいいなと話しながら就寝。


テン場で今日の行程を確認


霧の中、薬師岳山荘にて

チングルマも霧に濡れる


薬師岳のお堂


薬師岳お堂の中


三角点は座るのにに丁度良い


薬師岳途中のお花畑


薬師沢小屋を下る




20080816

今日は赤木沢を遡る。未明に降った雨はものすごかったが、朝までに何とか水は落ち着いてくれたようだ。それどころか、雲が切れ晴れ間が見える。先行者はガイドに連れられた5人くらいの団体。登山靴を履きダブルストックで黒部川を遡って行く。遅れて私たち。沢靴を履いて入渓。水はそんなには冷たくない。ガイドに伴われた先行者たちは、水に入らないよう沢沿いを巻きながら苦労して進んでいる。どうせ赤木沢に入るのなら濡れてしまうのだから思い切ってさっさと水に入ってしまえばいいものをと内心思いながら、腰まで水に浸かり、へつって追い越す。赤木沢出合までもいくつかの滝がある。巨岩やゴルジュに挟まれた沢は見るものを飽きさせない。川幅が広がり、まるで堰堤のような2段の滝が現れると、そこが赤木沢出合。へつりながら右に入って行く。
赤木沢は素晴らしい。言葉に表しても表しきれない。写真でも表現しきれないだろう。やはり自分で行ってみて初めて味わうことの出来る感動だ。ほとんどの滝が直登できる。ただ、釜が深いところがあり、首近くまで浸かって取り付く部分もあった。唯一怖かったのは大滝の巻道。途中の1m位の高さの岩壁を登る際に手がかりが乏しい。慎重に手元を確認し乗り越えて行く。基本的に本流を追って行けばよいが、最後近くの二俣は岩だらけの左側本流でなくナメが続く右側に進む。程なく草原に着く。ここもお花畑。沢装備を解き少し登ると中俣乗越に出た。このあたりからまた霧の中。黒部五郎岳頂上も展望はなかった。カールを下り小屋がちらりと見えてからが長い。それでも、近くに見える奇岩や雷鳥の雛たちが私たちを飽きさせず、何とか小屋までたどり着くことが出来た。テント場への手続きをしていると突然の豪雨。激しい雨にテント場は見えなくなり、そこまでの道も濁流が流れている。しばらく待ったがやむ気配はない。あきらめて小屋泊まりに切り替える。残念。宿泊費5800円。生ビール900円だった。
自炊は、困った。実は、即席ラーメンの大好きな私は日頃から1日3食1週間即席ラーメンを食べ続けても平気だといっていたのだが、二日間インスタントの味が続いただけですっかり食欲減退。見るのも嫌になってしまった。こんなはずではなかったと思いながら相方に相談。五目ご飯とラーメンを半分ずつ分け合うことにして何とか腹に詰め込むことが出来た。それに比べ、小屋飯のうまそうなこと。豪華な天ぷら。味噌汁がうまそうだった。


薬師沢小屋を出発


雲ノ平方面へ向かう吊り橋


黒部側を遡る


黒部川をへつる


黒部川にも滝もある


右側に赤木沢出合


赤木沢出合


きれいなナメが続く


連瀑帯


一番有名な滝


滝を登る


滝が続く


多段の滝


ここも連瀑帯


滝は簡単だが釜は深い


首下まで浸かって渡る


きれいな瀞


この滝もきれい


奥に大滝が見えてくる


なめ滝を登る

大滝が奥に見える


大滝の全景


巻道を登る


大滝を横から眺める


源頭が近づく


勾配がきつくなる


最後の二俣は右


詰めはきれいなお花畑


黒部五郎岳頂上


五郎のカール




20080817

今日は道程が長い。コースタイム10.5時間。小屋の方も心得ており、朝食は4時半からとなっていた。5時前に出発。ずっと霧の中。三俣蓮華岳、双六岳までは良かった。その後は、ただひたすら歩くだけ。晴れていれば気晴らしになる左手の槍穂高も顔を出してはくれない。ヘロヘロになって笠ヶ岳のテント場に到着。気が抜けてしまいあと一歩たりとも歩けない。上に見える小屋に手続きに行く気力が出ず、相方にお願いしてしまった。テントの段取りもせず、上半身裸になり岩の上に仰向けに寝ころぶ。ほてった身体が徐々に冷えてきて、なんとか生気を取り戻す。
相方が小屋から戻り、話を聞くと小屋の仲間は夕食後に笠ヶ岳まで登るらしい。とりあえずテントを張り気力を出して小屋へと登って行く。ところが、なんと云うことか雲がどんどんとれてくる。東の槍穂高、今まで歩いてきた薬師・黒部五郎・双六が目の前に広がってきた。なんと剣・立山まで望むことが出来た。こうなると現金なもので元気いっぱい。小屋前で写真を撮影した後、頂上に向かう。素晴らしい眺望。来て良かったと思える瞬間だった。程なく東側にガスが涌いてきた。もしかしてと期待していると、案の定ブロッケン現象を見ることが出来た。穂高をバックに阿弥陀如来様がご降臨されるお姿は、実は自分の影が映っているだけなのだが、なんとも神聖な気持ちにさせられるのだった。
日が沈む前にテント場に戻る。先ほど買ってきてもらった缶ビールで乾杯。ご飯と缶詰、スープで夕食とし、暗くなる前に就寝。テン場代500円。缶ビール500ミリリットル800円だった。


三俣蓮華岳


三俣蓮華の三県境界点


双六岳三角点


双六岳頂上


双六小屋


秩父岳のお花畑


秩父岩を望む


抜戸岩


笠ヶ岳頂上の社


笠ヶ岳山頂


笠ヶ岳三角点


槍ヶ岳を撫でる


ブロッケン現象


笠ヶ岳山荘からのパノラマ




20080818

今日は下山の日。明け方テントの外に出ると満天の星。オリオン座が南に輝いていた。明るくなってくると雲海の向こうに南アルプス。その左に富士山も見えている。日の出は、槍ヶ岳のすぐ右。素晴らしい。小屋から下りてくるメンバーと合流し6時に出発。昨日必死に登ってきた道を戻って行く。天気が良く見晴も聞くので楽しい。しかし、笠新道に入ってからは話が別だ。ひたすらの下り。これを登る気は絶対にしないと思った。それでも何とか下りきり林道に出た。ここの水場からあふれる水のおいしかったこと。
初めての新穂高温泉は無料の温泉に浸かりさっぱりしてからバスに乗り、平湯温泉で予約の取れた新宿行き高速バスに乗り換えた。途中混雑があって遅れたが何とか21時過ぎに帰宅した。


南アルプスの左に富士山


槍ヶ岳の右から日の出


笠ヶ岳ともお別れ


新穂高温泉のロープウェイ




今回は、初めての長期のテント山行ということでいろいろと反省点も多かった。
まずは食料。疲れているときに素直に楽しく食べられる食料を計画する必要がある。ラーメンと卵スープで作ったおじやだけでは2日も持たない。
それとリュックの重量。テン泊なのだから20kgは仕方ない。でも、それに耐えられる体力があってはじめてテント山行が出来る。いつもいつも皆から少し遅れて歩くことになり迷惑をかけたのが申し訳なかった。もう少しダイエットして体力もつけなくっちゃ。



ここから今回観察した花たち