2009年10月3日〜4日
前穂高岳・奥穂高岳
涸沢の紅葉と岩稜歩き



20091003
上高地バス停0650…0855岳沢ヒュッテ跡0905…1100岳沢パノラマ1110…1200紀美子平1210…1240前穂高岳1245…1320紀美子平1330…1525奥穂高岳1535…1600穂高岳山荘

20091004
穂高岳山荘0550…0710涸沢ヒュッテ0740…0900屏風のコル…1115新村橋…1130徳沢1140…1215明神1220…1300河童橋…1315上高地バス停




 先週は研修旅行と称して会社の仲間と普通に立山黒部アルペンルートを辿り、普通に室堂の錦秋を味わってきた。今週は、同じ会社のいつも一緒に山を登る仲間と共に標高が日本第三位の奥穂高岳と涸沢の錦秋を楽しむことにした。

 このメンバーとの山行は、2回槍ヶ岳に挑戦して2回とも登頂できなかったという情けない事実がある。今回も初日は雨という予報だったため、『二度あることは三度ある』になるのはイヤなので中止にしようかなどと話し合っていた。しかし、さわやか信州号も予約していることだし、涸沢だけでも見に行こうなどと話し合い、決行することにした。





20091003

 前日夜新宿発のさわやか信州号上高地行きは計5台の盛況。料金がいつもの6000円より高い7000円だったのは、大変な混雑による渋滞が予想されるので朝は一般の大型観光バスも入山を規制されアルピコのなどの低公害バス以外は釜トンネルを通ることが出来ないという特定日に当たるため、沢渡で連絡バスに乗り換える必要があるからだった。

 上高地バスターミナルに到着して空を見上げると、小雨のなか一部に青空が覗いている。これから天候の回復が期待できそうなので、当初の予定通り岳沢を登って行くことにした。河童橋を渡り梓川沿いに進むがこのまま自然探勝路を進んでしまうと誤って明神まで入ってしまいそうだったので、左手に見える作業道に早めにコース変更。

 時折弱く降る雨の中、岳沢ヒュッテ跡まで来ると吊尾を中心とする雄大な景色が広がった。岳沢の源流付近にはいつもは見ることの出来ない滝が見事に流れている。周囲の紅葉も見事だ。左に見えるジャンダルムの近くには赤い点が見える。登っている人がいるねなどと話ながら先を進むが、この赤い点は全然動く気配がない。何か不具合でもあったのかと心配したが、あとで理由が判明した。


雨の河童橋
穂高の山は雲の中


雲が切れ始める


岳沢の滝


上高地が見通せるようになってきた


岳沢パノラマからのパノラマ!


岳沢パノラマで休憩


前穂高岳に向かう

道は次第に岩稜となり鎖や梯子も現れる。手足を総動員して登って行く。最初は調子よく登っていた私は、いつの間にか最後尾となり若い二人から遅れがちになる。紀美子平に着く頃には頭も痛くなってきた。たかが3000mで高山病かよと情けなくなった。

 前穂高岳に登ると絶景が待っていた。2年掛けて登れなかった槍ヶ岳も遠くに見えている。三角点にタッチしてから紀美子平に戻り、奥穂高に向かう。


前穂高岳からのパノラマ


前穂高岳の三角点


奥穂高岳に向かう

 吊尾根は、以前通ったときには大キレットからの続きだったせいか印象が薄かったが、今回改めて通ってみると結構な岩稜歩きだ。三点支持もろくに練習していない同行者がどうなってしまうか心配だったが、私よりずっとスムーズに通過して行く。疲れも出てきて私のペースが落ちるが、何度か休憩を交えてようやく奥穂高岳に到着。途中で、ジャンダルムの脇の赤い点の正体が判明した。先日ジャンダルムでの遭難救助中に事故により墜落したヘリコプターの破片のようだ。手前のロバの耳の急峻な岩壁に引っかかっている。あまりに急峻で回収することが出来ずにいるらしい。亡くなった搭乗員の方のご冥福をお祈りすると共に、遭難事故がどれだけ皆に迷惑を掛けるのかを実感した。


岩稜を進む


ジャンダルム手前ロバの耳の絶壁にヘリの破片

 さて、奥穂高岳からの眺望もまた絶景だった。360度の眺望。雲海の上に遠くの峰々が小島のように浮かんでいる。同定できない自分の知識の無さが恨めしい。

奥穂高岳からのパノラマ


予定通り16時に穂高岳山荘に到着。素泊まり6000円。まずはビールで乾杯。500mL800円。夕食はレトルトカレーに海藻サラダ。外を見れば満月。言われて気がついたが、今日は中秋の名月だ。まさか、穂高の稜線で拝むとは思ってもいなかった。美しいと言うよりもギラギラと輝く強い光に恐ろしさを覚えるほどだった。20時就寝。朝までぐっすり。




20091004

 4時半起床。朝食はチーズリゾット。作りすぎたと思ったが3人で完食。片付けて出発準備を整え山荘の外に出ると丁度御来光の時間。雲海の向こうからスッキリと登場した。
 ザイテングラードを下り涸沢ヒュッテで休憩。紅葉を楽しむ。若干盛りは過ぎているがまだまだ美しい。雲ひとつ無い青空と岩稜の白、紅葉や黄葉、ハイマツの緑などが見事。じっくり眺めた後、上高地に向かって出発。

穂高岳山荘から眺めるご来光


朝日に染まる穂高岳山荘




涸沢のパノラマ


涸沢岳と北穂高岳をアップ

 帰路はパノラマコースを歩く。ノンビリしすぎたせいか先行者が多い。鎖場やザレ場などで団体の通過が手間取りしばしば渋滞するが、その間にゆっくりと涸沢のパノラマを楽しませて頂いた。再び槍ヶ岳も眺めることが出来て最高の気分。屏風のコルを過ぎてからの岩混じりの下りは疲れ切った足にはきつかったが、なんとかコースタイムで新村橋に到着。河童橋に到着して振り返れば昨日から歩き続けた吊尾根がくっきりと見えていた。無事歩き通した充実感で最高の気分。同行者もとても喜んでくれた。上高地バスターミナルに到着すると、あと5分で新島々行きのバスが出るところだった。シャワーはあきらめ乗車する。松本駅でお土産を購入してあずさ26号で帰宅の途についた。


パノラマコースからみる涸沢


パノラマコースから見る槍ヶ岳


新村橋から振り返る前穂高岳と明神岳


河童橋から眺める穂高の峰

 今回は予想外の好天に恵まれ、雨の山岳会の汚名を返上し素晴らしい山行を経験することが出来た。これから何回一緒に登ることが出来るか判らないが、更に仲間を増やして山の楽しさを皆に知ってもらいたい。