2010年7月17日〜19日
分水嶺10 三国峠〜清水峠
暑さでバテながらいろいろ経験しました



20100717
0900上越橋0916…0950三国峠0955…1020休1025…1045三国山1050…1125休1140…1215三角山1220…1230大源太山分岐…1310平標山の家

20100718
平標山の家0355…0442平標山…0535仙ノ倉0550…0650エビス大黒ノ頭0700…0745休0755…0815(滑落)…0820休0830…0833セト乗越…0900休0910…0940休0950…0940休0950…1008万太郎山1030…1110休1120…1126大障子ノ頭…1155休1205…1220小障子ノ頭…1240休1250…1320休1350…1400オジカ沢ノ頭…1430休1440…1530谷川岳肩の小屋

20100719
肩の小屋0414…0423トマノ耳…0440オキノ耳…0605一ノ倉岳0610…0700休0705…0735休0745…0830武能岳0849…0935蓬峠0945…1015休1025…1050七ツ小屋山1100…1130休1150…1200清水峠1220…1230水場…1255休(トラバース終)1305…1340休1350…1440(沢出合)1515…1547タクシー合流



20100717(土)

 今日から三日間、また分水嶺を歩く。これで10回目となる山行だ。今回は、発起人のMリーダーが家庭の事情で欠席。きっと悔しがっているだろうなあ。きっと一人で後日歩いてルートをつなぐのだろうなあ。

 メンバーは総勢15人の大所帯。のはずだったが、何故か集合場所の東京駅の上越新幹線車内で一人足りない。Haさんがいないのだ。発車間際に携帯電話がつながったが、未だ川崎駅とのこと。Haさんはテント一張りを持っているのでちょっとまずい。しかし、揃っているメンバーのツエルトもあるし、待っていて遅くなると天候が悪化する可能性が高いので、TuリーダーはHaさんに対し「待ちませんので帰ってください」と一言。間もなく新幹線のドアは閉まり、一路上毛高原駅へ。

 14人となったメンバーは、上毛高原駅からタクシーに乗り三国トンネル手前の上越橋へ。ストレッチを済ませ前回の終了点である三国峠への登山道を進む。前回まで歩いた分水嶺のルートは一般登山道であることが少なく、ヤブこぎの連続だったりしたが、今回は立派な登山道のみだ。登山道入口には『中部北陸自然歩道入口』の標柱が立っている。





 三国峠に到着してお社に挨拶した後、三国山に向かう。若干急な登りは植生保護の木道や階段で整備されている。ニッコウキスゲが丁度見頃だ。クガイソウも紫色の花穂を伸ばしている。三国山(二等三角点三国嶺1636.36m)に到着すると三角点の脇に『幸福の鐘』がある。鐘を叩くと、これから向かう『谷川岳肩の小屋』の件を思い出した。







 先に進もうと登山道を探すが経路が見あたらない。来る途中に分岐があったようだとのメンバーからの指摘で登山道を少し戻ると、やはり分岐があり先に進む事にする。三角山を越え大源太山(三等三角点耕地1764.09mがある!)への分岐に到着。Tuリーダーが大源太山に行くかと声を掛けるが誰からも反応がない。確かに地図上では大源太山は分水嶺の尾根筋の外だ。しかし手前のピークまでが分水嶺なんだよなあと心の中で思ったが、ここは素直に登山道に従って進むことにする。ということで、ここはちょっと本意ではないショートカットになってしまった。

 いよいよ平標山の家に近づくと、先頭から「Haさんがいる!」との声。なんと、後続の新幹線でこちらに向かい、先回りして平元新道から登ってきたようだ。これで全メンバーが揃い、平標山の家に到着。

 Tuリーダーが小屋に打合に行っている間、皆は外のベンチでくつろぐ。そんな中、Toさんの廻りで一騒ぎ。なんとToさんのシャツにヤマビルが這っているではないか。退治しシャツを脱いでみるとしっかり吸血された痕がありまだ血が止まっていない。みんなビックリして自分の身体を確認するが他には被害はないようだ。さて、このヤマビルは今回取り憑いたものか、はたまた遠く丹沢から連れてきたものか。今後もし平標山にヤマビルの被害が出るようになったら私達の責任でしょうか・・・。

 さて、小屋は北側が営業小屋、南側が避難小屋となっている。今晩雨が降りそうだということで、Tuリーダーの判断で避難小屋(1泊2000円)に泊まることにした。荷物を小屋内に置き、外のベンチで酒盛りを始める。冷たいビールが美味しい。夕食の段取もしようと思ったが、雲行きが怪しい。仕方なく小屋に入って続きの段取りをする。間もなく外は雨になる。Tuリーダーの適切な判断に皆は絶賛。夕食はウナギのひつまぶしにお吸い物。とても美味しく頂きました。








20100718(日)







今日は長丁場だ。行動時間は茂倉岳避難小屋までの12時間。尾根伝いとはいえ、アップダウンもそれなりにあるようだ。3時起床4時出発とする。幸い昨夜の雨は上がり、見上げればきれいな星空。

 まずは平標山(三等三角点松出1983.68m)。頂上で御来光を浴び、厳かな気分になる。そして今回のルートの最高標高点である仙ノ倉山(二等三角点千倉山2026.17m)。私達の山の会にとっては特別な場所だ。私達の仲間が奪われた場所。私達の仲間の魂が眠る場所。皆で焼香し黙祷を捧げる。二度とこのような悲しい思いをしないよう心に誓う。









 さわやかな風を浴びながら尾根を進むがルートは意外に厳しい。昨晩の雨のせいもあって若干ぬかるみ滑りやすい。時々誰かが滑って転ぶ。8時過ぎ、遂にSiさんが段差の大きい下り坂で転倒し、勢い待って登山道を逸脱して笹の急斜面を滑り落ちる。笹を掴み何とか途中で止まったが自力では登り返せそうにない。Kaサブリーダーがロープを出しSiさんの身体に結んで皆で引き上げる。何とか怪我無く処理することが出来た。少し先に進んで振り返って滑落現場を見る。もしあと少し滑っていれば、岩場にまともに転落して間違いなく大事に至っていただろう。ぞっとすると同時に私達の幸運に感謝した。安全な場所まで進んで一息入れ、皆の気を落ち着かせる。改めて足元に注意するよう声を掛けて先に進むことにする。



 陽が高くなるにつれて気温が上がってくる。滝雲を眺め周囲の山の絶景を楽しみながら進むのだが、なにしろ暑い。風が吹かない。時折吹き抜ける風も初めのうちはさわやかだったが次第に熱風となる。皆大汗をかき疲れ気味で、スピードも上がらない。30分に1回休憩を取ることにして何とか進むが、それも限界。オジカ沢ノ頭手前でTuリーダーは大胆にもお昼寝タイムを設定。皆30分しっかり休ませていただいた。おかげで何とか体力が回復。





 その後もスピードは上がらないが着実に歩を進める。しかしコースタイムは1時間近く遅れることとなった。肩の小屋への登りでは遂に雷鳴と共に雨が降り出す始末。肩の小屋に着く頃には土砂降りとなり、慌てて小屋に逃げ込む。この時点で15時半。雨も強くなってきたので茂倉岳避難小屋に行くのはあきらめ本日の行程は肩の小屋までとした。

 谷川岳肩の小屋は本来は予約制の小屋だ。また、この日は予約も多く、とても余分な15人が泊まれるスペースはない。しかし、小屋番の馬場さんは、緊急避難ということで小屋の外にテントを張ることを許して下さった。その上、貴重な水までも提供していただいた。本当にありがたいことだ。雨が落ち着いたところで早速テントを張り中へ荷物ごと移動する。外はまた土砂降りになり、光ってから1秒前後で雷鳴が轟く。避雷の効果はないと判ってはいてもつい首をすくめてしまう。

 メンバーは結構疲労しているようで、「もう途中で切り上げて、明日は天神尾根からロープウエイに乗って帰りたい」などと言っていたが、Tuリーダーの「明日は予定通りのコースを行きます」の一言で気を取り直し、明日の元気のために夕食の支度をする。夕食はとても美味しいのだが、疲れすぎて食べられない人もいたのが残念だ。

 雨は18時頃一旦止んで虹を見ることもできたが、夜中にはまた土砂降りとなった。
20100719



目が覚めれば雨は止み、きれいな星空が見えた。昨日の疲れからか、2時半に起きるつもりが皆寝坊して3時起床となった。それでも頑張って4時15分には出発することが出来た。トマノ耳、オキノ耳を過ぎ一ノ倉沢を右に覘きながら岩場を通過する。とても滑りやすい岩が昨夜の雨で更に滑りやすくなっている。一つ間違えば麓の慰霊碑に名前を連ねてしまうことになる。慎重に通過し、なんとか一ノ倉岳(一等三角点谷川富士1974.18m)に到着。











 一ノ倉岳から先はなだらかな稜線。池塘ではハクサンコザクラの群生を見かけた。茂倉岳を下ると昨日泊まるはずだった茂倉小屋が見えた。昨日は超満員で大変だったそうだ。この点でも私達は幸運だったのだろう。

 武能岳は今日最後のきつい急登だ。草を掴み岩を掴んで汗びっしょりになって登る。ようやく辿り着いた頂上からは、これから辿る清水峠間でのルートが一望できる。下には湯檜曽川が流れている。本谷の十字峡や大滝がちらりと眺められる。いつかは行ってみたいものだ。







 ここからはゆったりとした笹原。とても暑いが時折吹く風は涼しい。蓬峠に向かう間、蓬ヒュッテに売ってもいないビールやかき氷に期待したり、風通しのいい休憩場所を探したり、左に見える大源太山の急峻な尾根に見とれたりしながら結構気楽に進んだ。七ツ小屋山(三等三角点七ツ小屋1674.72m)に到着してからは清水峠の水場の美味しい水を希望に進んだ。



 清水峠に着くと若者達が休んでいる。湯檜曽本谷を遡行してきたとのこと。雪渓がまだ多く残っていて途中で尾根に逃げたそうだ。暑い中を必死に歩いてきた私達にとって、彼らは涼しげでとてもうらやましかった。さて、水場は何処だ。結局まともな水場を見付けられず、緊急の補給の必要もないようなので、そのまま謙信尾根に向かうことにする。



 謙信尾根への登山道は、七ツ小屋山手前のピーク(冬路ノ頭というらしい)から派生する尾根で、清水峠からは水平にかなりの距離をトラバースすることになる。直前に刈払いをしたようで、刈られた笹が傾いた登山道上に積まれているため極めて歩きにくく滑りやすい。また、一部登山道が崩壊している場所では、手がかりにしようとした笹が刈られたものであったためすっぽ抜けるなど少々の危険も感じた。

 峠から10分ほど進んだところに沢があり冷たい水が流れていた。もしかしたらこれが地図で記載された水場なのかも知れない。

 ようやく尾根に乗り樹林帯の中を下る。林道沿いの沢に出る直前で登山道が崩壊しており、泥付の急斜面となっている。そ〜っとトラバースしてから切れ落ちた壁面に足を決めて下る。少し怖い。約1名セミになってしまい、ヤブクイーンに手取り足取り位置を指示されてようやく通過した。

 沢に辿り着き、流れに頭を突っ込む。気持ちいい。皆もそれぞれ身体を拭いたり顔を洗ったり。さっぱりしたところで再出発。Tuリーダーとヤブクイーンが先行してタクシーにアポイントを取ってくれることになった。





 沢沿いに下ると間もなく林道になる。途中の水場で美味しい水を飲み、更に下ると林道起点のゲートよりずいぶん手前にタクシーが待っているではないか。Tuリーダーとヤブクイーンが林道を走って下り、ゲートの管理者に頼んでタクシーを林道に入れてもらったそうだ。疲れ切った身体には本当にありがたかった。感謝感謝です。この後、タクシーに乗って六日町駅まで行き、銭湯に入ってから越後湯沢経由で横浜に戻った。

 今回の山行はきつかった。その原因は暑さだ。2000m以下の縦走は、夏を避けましょう。