2010年7月23日〜25日
甲斐駒ヶ岳・鋸岳
ザレにドキドキ



 みろく山の会の山行で「甲斐駒ヶ岳〜鋸岳」の企画がでたので参加することにした。このときの気持ちは、南アルプスデビューだなという簡単な気持ちだった。山行の日が近くなりインターネットで調べたところ、甲斐駒ヶ岳はともかく鋸岳は結構厳しい山だと、その時初めて知った。行く前からかなりドキドキだ。

 当日の参加者は5人。自家用車で仙流荘へ。昼食に鹿肉唐揚定食900円を頂いたが、お味の方はイマイチ。味自慢のローメンも味がほとんど無く、酢をかけてようやく無理矢理飲み込んだ感じ。昼食後、車を戸台大橋先の駐車場に回送し、戸台大橋からバスで北沢峠まで。バスの運転手さんが楽しい方で、甲斐駒ヶ岳や鋸岳についていろいろ説明しくれた。また、撮影スポットではわざわざ停車してくださった。北沢峠から少し下り北沢長衛小屋のテント場に落ち着く。


おまけ
相模湖駅前で丹沢あんパンを買いました。
とても美味しかったです。


鹿肉唐揚げ定食900円
肉か堅くて量も少なくちょっと寂しい


鋸岳
右の切れ込みは中ノ川乗越
中央のザレが各兵衛沢


角度を変えて
中央の切れ込みが中ノ川乗越


拡大すると
右が中ノ川乗越
中央やや左が小ギャップ
その直ぐ右のピークの右に鹿窓がある
大ギャップは尾根の陰に隠れて見えない
クリックして拡大画像を表示すると鹿窓が見えます


北沢長衛小屋のテント場で宴会開始

 翌日の24日。天気は快晴。星空が綺麗。ヘッドランプをつけて登る。途中の仙水小屋で水を汲ませていただく。飲むと冷たくとても美味しい。仙水峠では地蔵岳のオベリスクを見ることが出来た。摩利子天はパスし甲斐駒ヶ岳山頂へ。三角点(一等三角点甲駒ヶ嶽2965.58m)。最高標高点は社の裏の小高い岩。よく見るとステップが切ってあり上まで登ることが出来た。


駒津峰から左アサヨ峰、中央奥が北岳、右が仙丈ヶ岳


甲斐駒ヶ岳からぐるり一周
中央がこれから下る鋸岳方面


甲斐駒ヶ岳のお社


甲斐駒ヶ岳の三角点
一等三角点甲駒ヶ嶽2965.58m

 ここから鋸岳への尾根へ向かう。標識だけははっきりしているが昭文社の地図では波線道。それなりに険しいが踏み跡はしっかりしている。途中やや厳しい鎖場があったが鎖をしっかり持って無事通過。辿り着いた六合目石室は改修したばかりでしっかりした屋根が架かり高床も貼ってある。しかし、石壁には穴があるし屋根の妻側は吹きさらしになっているので、風雨が強まればやはり中でテントを張る必要があるだろう。

 水は足りそうだが、一応水場の確認に行く。先のザレのあたりにあるというのだがなかなか見つからない。あきらめて帰ろうとするとザレ場に微かに踏み跡がありハイマツに白いテープが巻いてある。目印を便りにハイマツを掻き分けるとその先にしっかりした踏み跡が続いていた。そこから下ること10分ほどで水音が聞こえて水場に到着。しっかりと湧き出し冷たく美味しい水だった。登り返しには苦労したが、これで水を心配することなく炊事することが出来た。その後、若い2人パーティーが2組。そして、なんと鋸岳から登ってきた単独者が1名。彼から、「この先更に登ると厳しいところがありますか」と聞かれ、皆口をあんぐり。


途中の岩場の鎖


六合目石室
屋根は綺麗になったが隙間はある


水場は ザレ場の左奥の径を下る


水場は水量たっぷり

 25日も晴れ。若者2組は先行して出発。我々も少し遅れてヘッドランプをつけて出発した。三ツ頭までの径は尾根伝いに行けば良いのだが、ついついバリエーションルートということが頭の中にあって、崖をトラバースした時などに尾根に戻らずトラバース気味についている獣道に迷い込むことがあった。案の定、我々が尾根上で休憩していると下の方でごそごそ音がして先行したはずの1パーティーが現れた。尾根に径があることを教えると、登ってきて今までのヤブこぎの苦労をとても悔しがっていた。

 三ツ頭を過ぎ中ノ川乗越に辿り着くと見事に大きなガレ場が目の前に聳える。先行している2パーティーがゆっくり登っているが時々落石を引き起こす。十分間を確保して登って行き灌木の生える尾根を少し進むと第二高点に到着した。


三ツ頭までの径はトラバース時に尾根に戻るよう注意


中ノ川乗越から第二高点に登るザレ場

第二高点には剣が立っている

 目の前には大ギャップ。どこを通って向こう側に行くのか判らない。先行した1パーティーはまっすぐ進み大ギャップの鞍部を越えるつもりの様だ。残りの1パーティーに左の尾根にルートがあるはずだからそちらに進む様に話をして先行してもらう。休憩してから尾根を下ると、途中から大ギャップの沢に向かって折り返しながら下って行く。しめっていて滑りやすい。振り返るとまっすぐ向かったパーティーが後から下りてくる。大ギャップは懸垂下降になるので止めてこちらに来たとのこと。沢筋まで辿り着くと先行パーティーが右のガレた支沢を登っている。方向が全然違う。あわてて呼び止め下る様に声をかけてから辺りを見回すと沢の反対側にマーキングがある。しかしそこに行くには急なガレ沢を向こう岸まで渡らなくてはならない。積もっている岩は細かく微妙に均衡を保っている様で、足を踏み込むとザーッと崩れそのまま何メートルも崩れて行く。蟻地獄の様だ。そして渡るべき対岸の取り付きの数メートル下は崖状になって下が見えず、崩れた岩達が吸いこまれて行く。ゆっくりと歩を進めるが時折足下をすくわれる。岩と一緒に落ちたくない。出来るだけ上流側で対岸に渡り崖の岩を掴みながら慎重に下って何とか対岸のルートである岩の支沢に辿り着く。そこからもまだ安心できない。岩は脆く、登ろうと思って掴んだ岩が簡単に剥がれる。更に慎重に手足を決めてよく約草地にたどり着きほっとする。上を見上げると穴が見える。鹿窓だ。鎖が下がっている。大して急ではないのだが浮き石が多い。落とさない様気をつけて登り、ようやく鹿窓を通過してほっとする。


第二高点から大ギャップ
その先に第一高点が見える


最大の難所だったザレ場をなんとか抜ける


上に鹿窓が見えてきた
ここから鎖場を登る


鹿窓を潜る

 その先の尾根に乗ると目の前に小ギャップが現れる。まずは鎖を使ってギャップの底に下りる。とても太い鎖で女性にはとても持ちづらかった様で下降に苦労をしていた。次に正面の壁を登るのだが、鎖がついているので案外簡単に登れてしまった。今日の核心のはずだったのだがちょっと拍子抜け。ここを過ぎれば第一高点。とりあえずお疲れ様。


小ギャップへの下り
丈夫は太い鎖なので持ちづらい


小ギャップからの登り
ホールドは至る所にあるのでそんなに怖くない


第一高点から甲斐駒ヶ岳・仙丈ヶ岳を振り返る


無事第一高点につきました


鋸岳核心部の配置はこの通りと思われる

 この後角兵衛沢を下る。ザレた岩が足を踏み込む度に崩れる。30cm以上ある岩も一緒に崩れてくるからたまったものではない。先行者はまだましだが、後続者は先行者に落石を当てない様に大変苦労した様だ。かなり下までザレ部を通って下ったが、実際は左岸にルートがあり落石を気にすることなく下れる様だ。次回来るときにはしっかり確認しよう。

 途中の大岩の水場も美味しかった。ここにテントを張れる様だがジメジメしていて何となく居心地が悪そうだった。長い下りを終え今度は長い河原歩きだ。戸台川に出たところで対岸に渡れば良かったのだが、そのまま右岸を歩いていったため渡る場所が見つからず靴を脱いで徒渉した。水はとびきり冷たかった。2時間半かかってようやく駐車場に到着。


各兵衛沢を下る


戸台川の河原をひたすら下る

 温泉にはいるため仙流荘に行き湯を浴びていると外が土砂降りになった。ぎりぎりセーフだった。帰りの車窓から濁流となった戸台川を眺めながら、もし下山が遅れてこの濁流の中にいることになったらどうなったのだろうなどと話し、改めてほっとした。ところで仙流荘だが、行きに寄った際に食事にがっかりしたが、帰りには今度は団体が入ったので食事が作れないという。温泉に入ってゆっくり食事と思っていたのにがっかり。最後までやってくれちゃいました。バスの始発場所で登山客が他を選びようがない公共の宿だからといってひどいよね。ここまであきれた場所は初めてしでた。次回から事前に対策を練らなくては。