2012年9月29日
鷲ヶ峰
分水嶺第36回
みろく山の会30周年記念集中登山






いつものようにチーフリーダーの山行記を転用させていただきます。

では!




メンバー: HnS(CL)、HoR(SL)、Mra(SL)、MmT(SL)他 計28名

 みろく30周年を記念した集中登山が北八ヶ岳・霧ヶ峰で行われた。中央分水嶺が通る地域を舞台とした集中登山とあれば分水嶺のアピールの絶好のチャンス。和田峠から女神茶屋までを中央分水嶺に沿って結ぶコースを企画した。事前の宣伝効果もあり、28名と、これまでの最多参者加記録18名を大幅に更新。台風17号の影響で、歩けたのは初日の3時間足らずと、山歩きとしては、ちょっと物足らないものとはなったが、新しい仲間も沢山出来て、大満足の山行となった。

 30周年を記念した集中登山が北八ヶ岳で行われると聞いて、分水嶺チームとしても、是非、タイアップした山行を企画したいと思った。2009年3月に甲武信ヶ岳の北の三国峠からスタートした中央分水嶺踏破の挑戦は、4年目を向かえ、関東シリーズ踏破の目前まで来ている。現在の西の端は、蓼科山を下った女神茶屋だ。ここから白樺湖を経て和田峠までの工程には、さしたる難所もなく一般山行として実施するのにうってつけの場所だ。そこで、初日に和田峠から白樺湖、翌日に女神茶屋から白樺湖まで歩いてルートを繋げる計画を企画部に提案した。ところが、企画部から出てきた案は、バス手配の都合などでルートが修正されており、2日間の行程が接続していない。我々が、切れ目なくルートを繋げることにこだわっていることが、なかなか理解してもらえない。行き詰まった交渉を打開してくれたのがHnSさん。当初計画のコースに加えて、分水嶺を忠実に結ぶ第12コースを立ち上げ、自らチーフリーダを引き受けてくれた。

2012年9月29日 土曜日 晴

 6:30 万里橋に集合。すでに沢山の参加者が集まっている。12番の旗を目指し、受付を済ませ、バスに乗り込む。行きのバスは8コースのメンバーと同乗だ。8コースは、もともと分水嶺コースとして計画されたコースでもあり、コースの大半が12コースと重なっている。両コースのチーフリーダの説明の後、分水嶺の地形図を渡して、分水嶺の説明をする。同じ歩くのでも、何気なく歩くのと、何かにこだわって歩くのでは、楽しさが断然違う。できれば、今回の山行を通じて、分水嶺にこだわって歩くことに楽しさを感じてもらえればうれしい。
 バスは東名御殿場から北上し中央道に入る。スマホで台風情報を確認する。大型で非常に強い台風17号は沖縄にいて猛威を振るっている。この後、偏西風に乗って速度を上げ、日本列島を縦断する予想だ。関東地方に達するのは、月曜日になりそう。集中登山は、ぎりぎりセーフのようだが、同乗の理事長は月曜日のリーダ会議の中止しなければならないかと心配している。
 11:00 予定よりもだいぶ早く和田峠に着く。東餅屋のドライブインの駐車場でバスを降りる。和田峠は、中仙道の中でも最大の難所とされていた場所である。旅人の安全のために設けられていた茶屋のひとつが東餅屋である。江戸時代の中仙道の和田峠は、ここから西へ100mほど登ったところにあるのだが、今の中仙道は、和田トンネルで抜けてしまっている。Nekoちゃんのリードでストレッチをしてから、2班に分かれてスタートする。
 11:23 駐車場を出て、ビーナスラインを車山方面に少し戻ると、陸橋で国道142号線を跨ぐ。これが今の中仙道の旧道である。新道は、さらに南側を長い、新和田トンネルを経てが作られて南側をバイパスされている。なんども道が付け替えられていることからも、この峠が、特に冬季において通過が困難であった場所であったことが分かる。陸橋を渡ると直ぐに、左手に標識があり登山道に入る。信濃路自然歩道中信高原ルートの標識と、長和町の中央分水嶺トレイルの標識がある。中央分水嶺トレイルの標識には、「長門牧場〜霧ヶ峰〜美ヶ原 38km」と書かれていが、長門牧場も美ヶ原も中央分水嶺からは遠く離れている。トレイルと中央分水嶺が重なっているのは三峰山から大門峠の間、全体の半分程度でしかない。これは、このトレイルが長和町が設定したものであるからである。分水嶺が長和町を出てしまうと、分水嶺には関係なく観光名所を繋ぐようにトレイルが伸ばされているのだ。よく整備された登山道を歩き始めると、目の前をキツネが駆けていった。中部電力の鉄塔を過ぎると1621のピーク。ここで分水嶺の尾根にぴったりと乗る。少し下がって、上り返しのところに東京電力の鉄塔がある。これは黒部の水力発電の電力を首都圏に運んでいる送電線である。左手には独特の形をした蓼科山が見える。そして、正面には鷲ヶ峰。この二つは、驚くほど似たシルエットをしている。頂点を水平に切った円錐形の左手になだらかな肩が伸びている。
スタート テントサイト
キツネがすむ森を分水嶺トレールが進むル

上り坂ではついついオーバーペースになる

蓼科山 鷲ヶ峰
遠くに見える蓼科山

鷲ヶ峰はミニ蓼科山

 12:02-06 さらに登った1668のピークで小休止を取る。台風が近づいてことなど想像できないような好天で日差しも強い。9月末とは思えない暑さ。Tシャツ一枚になって鷲ヶ峰へののぼりにかかる。2番手、3番手には力のある女性若手メンバー。分水嶺に引き込もうと話に夢中になると、ペースのコントロールがおろそかになって、振り向くと4番手との間が開いてしまう。
 12:35-42 何度か立ち止まって、ペースを調整しながら登ると鷲ヶ峰の頂上に着いた。すばらしい眺めだ。まさに360度の展望。正面には蓼科山からつながる八ヶ岳連峰が綺麗に並んでいる。その右には、恥ずかしそうに雲で頭を隠した富士山。北岳を中心に左に駒ヶ岳、右に千丈が岳。さらに右に首を振ると、木曽駒、御嶽山を経て乗鞍岳。穂高からキレットを経て槍ヶ岳。槍ヶ岳は、この方向から見るのが一番とがって見える。再び東の方向を見ると浅間山。今日は噴煙を上げていないようだ。浅間山の東尾根を繋ぐなら、今がチャンスなのかもしらない。十分に展望を味わってから、八島ヶ原湿原に向かって下る。
鷲ヶ峰 北アルプス
鷲ヶ峰山頂

北アルプスの展望

八島ヶ原
八島ヶ原湿原の草紅葉

 13:24-34 湿原の牧童まで降りて、分水嶺を離れて右手に進む。湿原を眺めながら休憩。もう花の季節は終わり、雪の季節への準備をしているように見える。木道を右折して駐車場に登ろうとすると、対岸に8コースのメンバーが見えた。
 13:46 八島ビジターセンターで初日の行動を終える。バスで蓼科パークホテルに向かう。ロビーに入ると企画部のメンバーが迎えてくれた。250名が参加する大イベントを企画して、自分たちは山行にも参加せずに、集会の準備や各ルートの調整をしてくれていた。本当に頭が下がる。温泉に入って汗を流した後、記念集会、会食、そして部屋に戻って、もう一杯。

2012年9月30日 日曜日 昼過ぎまで晴 夕方から暴風雨

 5時過ぎに起きて天気予報を見る。台風17号は、さらにスピードを上げて夜には関東を直撃する予報。八ヶ岳周辺の天気は、昼過ぎまでは崩れることはなさそうだが、横浜に帰るのが遅くなると交通機関の麻痺で帰宅困難になる可能性が高い。午後3時までには横浜に戻る、というのがチーフリーダの判断。となると10時にはこちらを出発。8時から歩いたとして持ち時間は2時間。女神茶屋から八子ヶ峰に登りスキー場を下るプランを立てる。出発の準備を整えて、食事のために本館に向かうと、企画部から今日の山行の中止が伝えられる。特急あずさは、運休が決まり、夕方には関東の交通機関の麻痺が予想されている。250名の企画山行としての判断としては、最善の判断だと納得する。バイキングの朝食をたらふく食べてから、腹ごなしのために近くの乙女滝まで散策する。なかなか立派な滝だ。
 8:30 バスに乗って岐路に着く。中央高速を走る。北側の空には青空が見えるが、南アルプスには雲がかかっている。台風は75kmまで速度を上げて追ってくる。それでも、早く出発したのが幸いして、渋滞にはまることもなく正午前に横浜に着いた。


 集中登山にあわせて企画した分水嶺。歩けたのは初日の3時間足らず。ほとんどルートは延びなかった。でも、有望若手新人にも参加してもらい、分水嶺にも興味を持ってもらえたので、得たものは多かった。思えば4年前、分水嶺を始めたころには、ちょっとした笹薮にも感動しながら、登山道がないところを歩けることを楽しんでいた。回を重ねるごとに技術も身に付き、わずかな踏み跡が、しっかりした道に見えるようになってきた。関東シリーズの踏破を機会に、もう一度、最初のころの感動を味わえる山行を企画してみようと思う。分水嶺に興味をもってくれる人に、分水嶺の、子供の探検ごっこのような楽しさを知ってもらうために。